顧客から突然の仕様変更が――あなたならどうする?プロマネ1年生の教科書(1/3 ページ)

ビジネスの場では、顧客からの“無茶振り”もよくある話。顧客から「仕様を変更してほしい」と言われたら、あなたはどう動きますか? 「相手との関係を傷つけたくない」「交渉が面倒」と要求を無条件で飲むのは、最もやってはいけないことだったりします。

» 2016年03月08日 08時00分 公開
[岩淺こまきITmedia]

連載:プロマネ1年生の教科書

 現代のプロジェクトマネジャーは、昔よりも難しいといわれています。多様な人材や混沌とした状況に苦しみ、「自分は向かない」と自信を失うこともあるでしょう。この連載は、プロマネになりたての人や、役職に就いたが“やることが山積みで、関係者の間で日々翻弄されている”人が、限られた権限やリソースの中で「ヒューマン/ビジネススキル」を使ってチームをよい状態へ導くことをテーマに、さまざまなスキルや活用法をご紹介します。

 前回の記事では、5つ目のスキル「ステークホルダーと交渉・調整するスキル」のうち、前提となる心構えをご紹介しました(関連記事)。このスキルは、今回の連載で取り扱う7つのスキルの中で最も“人の感情”に左右されるため、まずは自分の感情をコントロールする必要があります。

 難しいのは、プロマネ自身が揺れなくても、メンバーや相手(ユーザー、ベンダー)側の気持ちが揺れるケースもあることです。仕事の依頼時に、言い方一つで関係者の感情を損ね、メンバーのモチベーションが下がったり、無駄な調整事項が増えたりするかもしれません。

 “感情”が揺れるのは、自分の欲求が阻害されるとネガティブな感情が生じるためです。遊んでいるおもちゃを取り上げられて、怒る子供を想像すると分かりやすいでしょう。そこから仕事に復帰するには、感情の整理を行い、気持ちを立て直す労力が必要になります。

 立て直しにかかる時間は、人によってさまざま。経験豊富なプロマネは一瞬で立て直せても、経験値が浅いメンバーはなかなか気持ちが切り替わらないこともあります。プロマネはメンバー含めたステークホルダー達の“感情の揺れ”にも考慮し、対応していく必要があるのです。

突然の仕様変更のお願い……あなたならどうする?

photo 上司や顧客からの“無茶振り”に頭を悩ませた経験、ありませんか?

 今回は心構えや前提知識を踏まえ、どのような調整を行うべきかをみていきます。プロマネの交渉や調整でよくあるのは「顧客からの要求変更」でしょう。例えば、要件定義が終わった後から「今挙がっている機能だけでは業務がうまくまわらないから、機能を追加してほしい」などと言われたりする“追加要求”です。

先方担当者: 「大変申し訳ないのですが、仕様を変えて欲しいんです。上の方で新年度から会計のルールを変えることが急に決まってしまって……」

メンバー: 「それはちょっと……。やるなら大規模な変更が必要です。今までテストをしてきた1カ月が無駄になってしまいます」

先方担当者: 「そこを何とか。このままの仕様ではまったく使えないものになってしまうんです」

メンバー: 「この段階で、急に言われましても……」

 追加の部分をよく聞いてみると、要件を決める際には問題ないとなっていた箇所。リリース時期も公開しているので、これから変更するのは難しそうです。さて、あなたはこの状況でどのように答えますか?

  • A.「それはできないです」など、断るニュアンスで対応する
  • B.「分かりました何とかします」など、受け入れるニュアンスで対応する
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