Microsoft、「マインクラフト」採用の人工知能(AI)訓練ツール「AIX」をオープンソース化へ

人工知能(AI)にとっては囲碁のようなゲームより、「丘を登る」といった人間にとっては簡単だが複合的なインプット/アウトプットが必要な行動の方が難しい。Microsoftはこうした“汎用知能”を構築するためのものづくりゲーム「マインクラフト」を採用した人工知能開発プラットフォーム「AIX」を今夏オープンソースで公開する。

» 2016年03月15日 09時36分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 米Microsoftの研究部門Microsoft Researchは3月13日(現地時間)、同社のものづくりゲーム「Minecraft(マインクラフト)」を採用する人工知能(AI)訓練プロジェクト「Project AIX」を発表した。

 aix 1 Project AIXのチーム

 Project AIXは、人工汎用知能(Artificial General Intelligence)と呼ばれる、人間には簡単でもコンピュータが獲得するのは難しい汎用的な知能を持つAIの構築を目指すプロジェクト。

 汎用的な知能とは、例えば臭いや音、不快さなどの“インプット”に基づいて泣き声を上げるという“アウトプット”で母乳を獲得するという、人間の赤ちゃんなら生まれながらに持っている知能だ。人工知能にとっては、こうした汎用知能を獲得することは、先日人間のプロ棋士に勝った米Googleの囲碁専用AI「AlphaGo」のような理論的な解析よりも難しいという。

 こうした汎用知能の実験のためにマインクラフトは最適という。現在Microsoft Researchでは、例えばマインクラフトのキャラクターに「丘を登る」という能力を教えている。最初は自分がいる環境について何も知らないキャラクターに起伏などの環境を教え、試行錯誤させて丘の登り方や危険の回避方法を学ばせていく。

 minecraft 2

 Project AIXのプラットフォームは、Java版のMOD(拡張データ)とマインクラフトの環境内でAIキャラクターが感じたり行動したりするためのコードで構成されており、これらのコンポーネントはWindows、Linux、Mac OSで稼働する。

 MicrosoftはProject AIXのプラットフォームを今夏にオープンソースで公開する計画だ。

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