Windows 10無償アップグレード終了後にユーザーを待ち受ける世界Enterprise IT Kaleidoscope(4/4 ページ)

» 2016年07月11日 08時00分 公開
[山本雅史ITmedia]
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Windows 10は避けられない

 今後のWindows OSは、Windows 10が継続的に改良されていくため、「Windows 11」や「Windows 12」といった新OSがリリースされることはない。また、新しいアップグレード版がリリースされたとしても、Windows 10を使用していれば無償でアップグレードができる。実際、8月2日にリリースされる「Windows 10 Anniversary Update」はWindows 10ユーザーに無償提供される。

 このような状況を考慮すれば、Windows 10への移行は避けられないだろう。特に日本企業は、「Windows OSなんてPCの付属品だ」と考える傾向にあり、利用しているPCのOSをアップグレードするという発想がほとんどない。しかし、今後のWindows 10ではEnterprise版の「Long Term Servicing Branch」(LTSB)を使用しない限り、コンシューマーに新しいアップグレードが提供されてから数カ月後には、企業ユーザーも自動的にアップグレードされることになる。企業のIT部門はこのような変化に追従していく必要があるのだ。

 それに、多くの企業はコスト面から新しく購入したPCをできるだけ長く使用したいと考え(大抵はリース契約の5年間が過ぎるまで)、しかも最上位機種を選びがちだ。しかし、Officeしか使わないようなPCにCore i7、64Gバイトのメモリ、3テラバイト容量のHDDといったスペックは必要ない。

 IT部門は、個々の事業部門が必要とするPCのスペックを考え、できるだけ低コストで新しいPCを導入していくべきだろう。また、低コストのPCを選んだとしても、リースの償却期間(5年)が過ぎる前に(3年ぐらいで)、新規のPCに交換する方法もあり得る。

 「デジタルの世界」では、いいモノを長く使い続けるより、ほどほどのモノを頻繁に入れ替えていく方がいい。具体的には、使用しているPCのHDDをSSDに変えたり、メモリ容量を増やしたりするといった形で、購入時点のスペックのまま5年間運用するようなことはしない。つまり、周辺機器のコストが低下したならパーツの一部を変更することも効果的だ。さすがに数百台ものPCがある会社では難しいが、十数台規模ならパーツ変更の手間はそれほどかからない。中小企業や個人事務所などのユーザーは、こういった手段も検討したい。

 あえてPCを頻繁に入れ替えていくというなら、PCのHDDにデータを蓄積しないようにしたり、クラウドメールを利用してPCにメールを保存させたりしないようなITシステムへ移行することも考えるべきだろう。

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