第45回 「名刺を切らしまして……」はOK? 欧米人との名刺交換テクノロジーエバンジェリスト 小川大地の「ここが変だよ!? 日本のITインフラ」(2/2 ページ)

» 2016年07月15日 08時00分 公開
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「名刺を切らしておりまして」は普通のこと

 では、そんな“突然やってくる”欧米人との名刺交換について心得とココヘンをご紹介しましょう。

 ネットで検索すると、外国人と名刺交換する際の注意事項として「日本と違ってあいさつが先」と書かれています。つまり、「Hello, 〜」から 握手、そして「Nice to meet you」とあいさつしてから 名刺交換という、お決まりのコースです。

 そして、相手が名刺を忘れたり、切らしたりしていることが良くあります。彼らにとって名刺を忘れるというのは「ボールペンを忘れた」くらいの感覚だそうです。つまり、先日私も体験した「名刺を切らす」といった日本のセールスマンにとって反省すべき行為は、許す・許さないどころか、“空気”のような普通のことのようです。

 また、自ら名刺交換しようとしてこないことも多くあります。単に“忘れた”だけかもしれませんが、「身近な誰かが交換してれば良いや」という感覚もあるということです。日本のように5人対5人の打合せでそれぞれが5回名刺を差し出して計25回の名刺交換が行われるという光景はほとんど見られません。代表の1組だけがさくっと名刺交換して、打ち合せの本題に入っていきます。

 そしてもちろん、「名刺を管理する」といった風習もありません。もし、そういった需要があれば、今頃WordやExcelに並んでMicrosoft Officeに名刺管理ソフトが含まれているでしょう。最近日本では電子化のための入力代行までしてくれる無償の名刺管理アプリが流行っていますが、これは、外国人を忍者居酒屋に招待するのと同じくらい、懇親会での「鉄板ネタ」です。

意外と日本の風習は知られている

 こういった欧米のビジネス習慣は覚えておきたいのですが、逆に「日本の風習も結構知られている」というも併せて認識しておきたいところです。

 例えば、メールで「Hi Ken, 〜」と始めても、こちらが日本人だと分かると「Ogawa-san, 〜」と日本風に返してくる人はとても多いのです。同様に名刺交換も日本型、つまりあいさつより先に名刺を渡されることがあります。アポイントメントの段階でこちらが日本人であることは分かっていますし、彼らはそれが日本の礼儀だと勉強しているのです。これは、私たちが海外旅行に行く際、「こんにちは」「ありがとう」だけは覚えようとする感覚に近いのでしょう。

 知り合いの外国人は日本への出張が決まると、航空券と同時に名刺も手配すると言っていました。先ほどの25回の名刺交換もありますが、日本に来るといつも名刺を切らしてしまうそうです。

ココヘン 名刺交換という行為一つをみても、日本独自のココヘンがあります。

 名刺交換という行為一つをみても、日本独自のココ変がありました。次回はその名刺に書かれている「職位」について、ITインフラ業界をターゲットに話していきたいと思います。

小川大地(おがわ・だいち)

日本ヒューレット・パッカード株式会社 仮想化・統合基盤テクノロジーエバンジェリスト。SANストレージの製品開発部門にてBCP/DRやデータベースバックアップに関するエンジニアリングを経験後、2006年より日本HPに入社。x86サーバー製品のプリセールス部門に所属し、WindowsやVMwareといったOS、仮想化レイヤーのソリューションアーキテクトを担当。2015年現在は、ハードウェアとソフトウェアの両方の知見を生かし、お客様の仮想化基盤やインフラ統合の導入プロジェクトをシステムデザインの視点から支援している。Microsoft MVPを5年連続、VMware vExpertを4年連続で個人受賞。

カバーエリアは、x86サーバー、仮想化基盤、インフラ統合(コンバージドインフラストラクチャ)、データセンターインフラ設計、サイジング、災害対策、Windows基盤、デスクトップ仮想化、シンクライアントソリューション。

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