2つ目と3つ目は、いずれもSalesforce.comのサービスの活用事例として紹介されたソニーマーケティングと日立製作所の経営トップの発言である。
まず、ソニーマーケティングではコンシューマー向け商品のマーケティングやサポートサービスなどにSalesforce.comのサービスを活用している。基調講演では同社の河野弘社長が登壇し、マーケティングの事例を紹介する中で次のように語った。(図2参照)
「当社が展開しているカスタマーマーケティングでは、お客さまが商品を購入される前から購入された後にわたってトータルの“カスタマージャーニー”をデザインし、その中でお客さまの状況を踏まえてタイミングよくコミュニケーションを取りながら満足度を高めていくことが重要だ。Salesforce.comのサービスを採用したのは、その設計思想が私たちのマーケティングの考え方と合致していたからだ」
河野氏の話で筆者が注目したのは、Salesforce.comのサービスが顧客満足度向上のプロセスを担っていることである。
また、日立製作所では自社のIoTソリューションとSalesforce.comのサービスを連携させることで、顧客のビジネスイノベーションにつなげようとしている。基調講演では同社の小島啓二執行役常務が登壇するとともに、東原敏昭社長もビデオでメッセージを寄せた。両氏はSalesforce.comと日立の関係について次のように語った。(図3参照)
「Salesforce.comと日立が組めば、B to CにおいてもB to Bにおいてもお客さまのニーズに対応したビジネスモデルを実現して行けるのではないかと期待している。データとデータ、人と人、ビジネスとビジネスをつないで新たな価値を創出し、最終的に人々のクオリティオブライフを向上させていきたいというのが日立の目指す方向だ。そうした中で、Salesforce.comは日立にとってお客さまとの“ラストワンマイル”を埋めてくれる非常に強力なパートナーだと考えている」
東原氏および小島氏の話で筆者が印象深かったのは、Salesforce.comのサービスが顧客とのラストワンマイルを埋めるツールであるということだ。
すなわち、「顧客満足度向上のプロセスを担っていること」、そして「顧客とのラストワンマイルを埋めるツールであること」が、Salesforce.comが成長し続ける理由の核心ではないか。
今後、デジタルトランスフォーメーションがさらに進展していく中で、こうした核心はさらに重要性を増してくるだろう。当然ながら、競合他社も注力してくる中で、Salesforce.comは引き続き勢いを維持していけるか。注目しておきたい。
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