老舗ソフトのクラウド化にみるIT産業構造の変化Weekly Memo(1/2 ページ)

米国の老舗ソフトウェアベンダーがクラウド化に注力し始めた。この動き、IT産業構造の変化の一端を表しているといえそうだ。

» 2017年02月27日 11時00分 公開
[松岡功ITmedia]

Citrix、Adobe、Veritasがクラウド事業に注力

 Citrix Systems、Adobe Systems、Veritas Technologiesといった米国のソフトウェアベンダーが先週、クラウド事業についてそれぞれ新たなメッセージを発信した。いずれも長年にわたってそれぞれの領域でグローバルに有力な製品を提供し続けてきた“老舗”ベンダーだけに、新興ベンダーとは異なるインパクトを感じさせる。

 まずは、それぞれの新たなメッセージを紹介しておこう。

 Citrixの日本法人であるシトリックス・システムズ・ジャパンは2月22日、同社の製品をクラウドサービスとして利用できる「Citrix Cloud」を国内で提供開始すると発表した。これにより、デスクトップ仮想化ソフト「XenDesktop」やアプリケーション仮想化ソフト「XenApp」などをSaaSモデルで利用できるようにした。(図1参照)

Photo 図1 Citrix Cloudの概要
Photo 会見に臨むCitrix Systemsのカルロス・サルトリアス ワールドワイドセールス&サービス担当エグゼクティブバイスプレジデント

 発表会見では、Citrix Systemsのカルロス・サルトリアス ワールドワイドセールス&サービス担当エグゼクティブバイスプレジデントが「Citrixはこれからクラウドファーストに注力する」と明言。これが同社の新たなメッセージである。

 Citrix Cloudのユニークな点は、IaaSをパブリッククラウドでもプライベートクラウドでも適用可能にしていることだ。さらに、Microsoft Azureと連携したサービスも用意しており、「Microsoftは戦略的なパートナー」(サルトリアス氏)と強調した。

Photo 基調講演を行うアドビシステムズの佐分利ユージン社長

 次に、Adobeの日本法人であるアドビシステムズは2月23日、デジタルマーケティングをテーマにしたプライベートイベント「Adobe Marketing Cloud Experience Forum 2017」を都内で開催した。Adobeは2012年からクラウド事業に注力し、現在ではクリエイティブなデザインやコンテンツ制作に向けた「Creative Cloud」、デジタルマーケティングを推進する「Marketing Cloud」、ドキュメント業務を効率化する「Document Cloud」といった3つのクラウドサービスを展開している。

 同イベントはMarketing Cloudを対象に、その先進技術や最新事例を紹介したものだが、アドビシステムズの佐分利ユージン社長は基調講演で「3つのクラウドサービスによって、素晴らしい顧客体験を提供する“エクスペリエンスビジネス”に注力していきたい」と強調した。これが同社の新たなメッセージである。

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