米国の老舗ソフトウェアベンダーがクラウド化に注力し始めた。この動き、IT産業構造の変化の一端を表しているといえそうだ。
Citrix Systems、Adobe Systems、Veritas Technologiesといった米国のソフトウェアベンダーが先週、クラウド事業についてそれぞれ新たなメッセージを発信した。いずれも長年にわたってそれぞれの領域でグローバルに有力な製品を提供し続けてきた“老舗”ベンダーだけに、新興ベンダーとは異なるインパクトを感じさせる。
まずは、それぞれの新たなメッセージを紹介しておこう。
Citrixの日本法人であるシトリックス・システムズ・ジャパンは2月22日、同社の製品をクラウドサービスとして利用できる「Citrix Cloud」を国内で提供開始すると発表した。これにより、デスクトップ仮想化ソフト「XenDesktop」やアプリケーション仮想化ソフト「XenApp」などをSaaSモデルで利用できるようにした。(図1参照)
発表会見では、Citrix Systemsのカルロス・サルトリアス ワールドワイドセールス&サービス担当エグゼクティブバイスプレジデントが「Citrixはこれからクラウドファーストに注力する」と明言。これが同社の新たなメッセージである。
Citrix Cloudのユニークな点は、IaaSをパブリッククラウドでもプライベートクラウドでも適用可能にしていることだ。さらに、Microsoft Azureと連携したサービスも用意しており、「Microsoftは戦略的なパートナー」(サルトリアス氏)と強調した。
次に、Adobeの日本法人であるアドビシステムズは2月23日、デジタルマーケティングをテーマにしたプライベートイベント「Adobe Marketing Cloud Experience Forum 2017」を都内で開催した。Adobeは2012年からクラウド事業に注力し、現在ではクリエイティブなデザインやコンテンツ制作に向けた「Creative Cloud」、デジタルマーケティングを推進する「Marketing Cloud」、ドキュメント業務を効率化する「Document Cloud」といった3つのクラウドサービスを展開している。
同イベントはMarketing Cloudを対象に、その先進技術や最新事例を紹介したものだが、アドビシステムズの佐分利ユージン社長は基調講演で「3つのクラウドサービスによって、素晴らしい顧客体験を提供する“エクスペリエンスビジネス”に注力していきたい」と強調した。これが同社の新たなメッセージである。
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