日本マイクロソフトが、これまで取り組んできた働き方改革で得られた成果と、今後新たに取り組むことについて言及した。
さまざまな形で「働き方改革」への取り組みを行っている日本マイクロソフト。4月17日に開催されたメディア向けの説明会では、平野拓也代表取締役社長自らが同社内での改革事例を述べつつ、今後目指すべき方向性を指摘した。
平野氏は「これまで日本マイクロソフトは、働き方を改革すべく、いつでもどこでも仕事ができる環境実現に向けて働きかけてきた。実際、経営者のアンケートでは売上や利益拡大以上に働き方改革を重視するという結果が出ており、自分の肌感覚でもその通りだ。一方で小さい頃からデジタル環境に親しんでいるミレニアル世代が多くなる中で、働く環境のデジタル化は準備できているのかというと、アジアの中でも働き方のデジタル化支援やマインド形成が遅れており、改善の余地が大いにある」と述べた。
そして「これからは、働き方“を”改革するだけでなく、働き方“で”(経営者や従業員を)改革することが必要になってくる。そう判断した社内の実例をみなさんと共有したい」とし、3つの例を挙げた。
社員自らが「働き方“で”改革」を推進した例として、平野氏は進化するOffice 365の「Microsoft MyAnalytics」と「Microsoft Teams」、そして大画面コラボレーションデバイス「Surface Hub」を挙げた。
MyAnalyticsを使うことにより、「この1週間で何にどのくらいの時間を割いたのか、誰と多くの時間を共有しているのかが一目で分かるようになる。メールを書いていたのか、あるいは会議で内職していたのかといった時間の使い方が個人単位で細かく把握できるだけでなく、AIが時間の使い方やコラボレーションなど、働き方の質を向上させるような気づきを提案してくれるのがポイントだ」と平野氏。
マイクロソフトのワークスタイルビッグデータを活用することで、「先週は自分が開催者である会議の開始時に頻繁にメールを送信していました」「義理で招待されていませんか、会議でマルチタスクをこなすことが多いです」「29%の会議が●●さんと一緒でした。分担することで、両方の予定表に余裕ができます」といったメッセージが、時間の可視化とともに表示される。
実際、MyAnalyticsを使った社内検証プロジェクト(2016年12月〜2017年4月の4カ月、人事、マーケティング、ファイナンス、営業という4部門の41名)の結果によると、合計で3579時間の削減を達成し、集中して作業するクリエイティブな時間が50%増加しただけでなく、従業員2000人相当の残業時間に換算すると実に年間7億円もの削減効果があるという。
Office 365のチャットベースツール「Microsoft Teams」について平野氏は、「プロジェクト型のビジネスを推進する上で強力に役立つツールであり、テーマごとに働くチームで情報共有するといった共同作業の改革を実現してくれ、チームワークのハブとして活用可能。秘書BOTを活用すれば、これまで10分かけていた会議調整が2分で完了する」とアピール。
日本マイクロソフトでは、2017年1月に約30台のSurface Hubを導入済みだ。平野氏は「Surface HubはWindows 10搭載のPCなので、執務室や会議室、社長室などに置いて活用している。打ち合わせの際は紙を持ち込まず、宿題を持ち帰らず、その場でアクションするのに最適なデバイスだ」と、社内の会議風景を動画で紹介した。PowerBIを使ってデータを直接いじりながら会議したり、グラフの見方をワンタッチで変えたりすることで極力無駄な時間を省き、迅速な意思決定を行っているそうだ。
平野氏によると「これらの事例はごく一部であり、かなりの量がたまってきた。社員の働き方改革習慣も根付いており、カルチャーづくりの養成ができている。わたし自身も立ちミーティングや午後5時までに会議を終わらせるのを徹底しており、社内の動きがだいぶ変わってきたと実感している。社員自らの改革で決断できるようにしていくこと、前に進めていくインパクトは大切なものだと考えている」とした。
より一層、働き方改革を進めるべく、日本マイクロソフトは「働き方改革推進会社ネットワーク」(仮称)を新たに設置する。働き方改革における会社同士のエコシステムを開発し、参加社全体で日本の働き方改革の活性化に貢献し、それを日本全体に広げていくのを目指す。まずは2017年6月初旬から登録を開始し、パートナー以外にも広げていく意向だ。
「我々の強みは、日本とグローバルを含めて長く関わってきてノウハウを持っていること、デジタルトランスフォーメーションのテクノロジーやセキュリティ基盤を持っていること、政府や自治体をはじめとして多くのパートナーとエコシステムを作ってきた連携実績があることだ。働き方改革から働き方で改革へ徐々にシフトしていく。半歩先、一歩先に進んで提案していきたいし、そういうことでお客様から頼りにされる、必要とされるパートナーになっていきたい」と抱負を述べた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.