「フツウのテレビも展示しているんだ!」とAMP(アンビエント・メディア・プレイヤー)を最初に見たときはそう思いました。
話を聞くと、これもただの家電製品としてではなく、インテリアの一部として住空間の価値を高める映像コンテンツ配信サービスとディスプレイの組み合わせを提供することで、映像クリエイターとそれを楽しむユーザーとを結び付け、新たなコミュニティーづくりを目指すというものでした。
そう、これも“モノ”から“コト”づくりを目指す商品(サービス)なのです。「都会に住む生活者の心を満たす映像と音のコンテンツは何か?」という視点からスタートし、リビングなどの住空間やオフィスやホテル、レストランなどの公共空間をターゲットに、家具や什器などと調和し、好みのライフスタイルやインテリアデザインの一部となるディスプレイで、世界中から厳選された上質なコンテンツを届ける、というサービスを提供する事業アイデアのようです。
世界初の電気式ズボンプレッサーである「CORBYズボンプレッサー」(英国製)を愛用する筆者としては、この「MonStyle (モンスティール)」は、アリだと思いました。お気に入りのワンピを大切にする女子の気持ちが分かる気がします。
クリーニング店に頼るのではなく、自宅で洗濯すると同時に、その日の気分によって好きな香りなどの効果を付けて自分流の服に仕上げられるという新しい衣類ケアシステムです。
大切な服を1着ずつハンガーにかけて専用デバイスに入れて洗浄することにより、従来の洗濯機による洗浄法では素材の違いや他の衣服との擦れによって生じていたシワや傷みの心配を大幅に軽減するそうです。
また、衣服の素材や汚れ具合など、個別の状態に合わせて最適化された洗剤を選んだり、衣類に香りやUVカットなどのさまざまな効果を付加したりすることができます。「Panasonicで洗剤を企画してもよいかなと思いまして!」と元気に話してくれた女性社員の笑顔が印象的でした。
以前紹介したシリコンバレーの無人レストラン「Eatsa(イーツァ)」の受付端末にそっくりな「CaloRieco(カロリエコ)」は、料理の具材や調理法などを短時間で識別し、カロリーや3大栄養素の含有量を計測可能にするアイデアです。
健常者だけではなく、糖尿病の患者やその家族など、毎日の食事の管理を必要とするユーザーを煩雑な手間から開放します。近赤外線を使用した独自の分析手法により、一般の家庭において、従来は数十分を要していたカロリー計算を約十秒(実験値)で測定できるそうです。
また、測定したカロリーや栄養素をログデータとして自動記録し、管理することで、健康づくりや体重維持が気になるユーザーのニーズに合わせてカスタマイズされたレシピを推奨するなど、今後、サービス事業への発展も検討しているとのこと。
本当に困っている人からするとすぐにでも欲しいサービスでしょう。
男性からするとドキッとするような展示で目を引いた「Social Appearance Coaching Device」は、ウェルネス分野のウェアラブル機器サービスを海外の大学・研究機関などとのハッカソンから抽出したアイデアをベースに具体化したものです。
ストレスや行動データを心と体の健康のためにいかに活用できるかに着目し、コミュニケーション力向上を目指す社会人を対象に、姿勢・声・動作・ストレスデータを使ったコーチングサービスを検討中とのこと。企業向けのサービス事業化を目指しており、パートナー企業を募集しているそうです。
Panasonic House@SXSWには、Game Changer Catapultの精鋭のアイデアを来場者が投票する“アナログな”ボードが設置されていました。
筆者は、毎朝の自分ゴトである母親の介護をより良くするアイデアである「DeliSofter」に清き一票を投じてきました。
今回、Game Changer Catapultの一環で、ニューヨークの有名美術大学であるPARSONS美術大学の学生とのコラボレーション作品も展示されていました。
Game Changer Catapultは、基本は社内公募で選ばれた事業アイデアをプロトタイプやコンセプトの形で展示したもの。つまりどれ1つとして商用化されていません。「2025年の家電の未来」を見据えたコンセプトやビジネスモデルで構成されているものでした。
しかし、既に商品化され、サービス提供されているかのようなサービスカタログ(これがイケている)や、プロモーションムービーも用意されていました。これには、アプライアンス社の家電領域を中心とした新規事業創出への執念を感じました。
そして、全ての展示に共通していたのが、各コーナーの熱心な説明員。公共の展示会でこれほどまでに一生懸命説明する説明員に会ったことはありませんでした。自作の歌を披露する社員もいれば、「自分たちのアイデアにぜひ投票してくださいね!」と笑顔を見せる社員などなど。
SXSWに参戦するには、デジタルビジネス分野での黎明期の技術やアイデアの可能性を問う姿勢が求められるだけでなく、人間力が問われるのかもしれません。
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