企業を超えたデータ連携、どう進めればいい? SBIホールディングスに学ぶグループ30社の“ハブ”に(1/3 ページ)

Webサイトにおける行動分析……というと多くの事例が出ているが、30以上の会社が相互に連携していたとしたらどうだろう。金融サービス大手の「SBIホールディングス」では、グループ各社の連携と全体最適を一手に担う部署がある。

» 2017年06月01日 08時00分 公開
[寺澤慎祐ITmedia]

 1つの企業だけではなく、異業種の企業と組んでデータ活用を進める――。最近ではそんなチャレンジを行う企業が増えてきている。一見関係がなさそうなところにこそ、新たなビジネスの気付きが見つかることもある。金融サービス大手のSBIホールディングスは、古くからグループ全体でデータ活用を推し進めてきた企業の1つだ。

 同社はSBI証券や住信SBIネット銀行、SBI損保といった「金融サービス事業」のほか、国内外のIT、バイオ、エネルギー、金融関連のベンチャー企業などへの投資などを行うアセットマネジメント事業、医薬品、健康食品、化粧品に関連するバイオ関連事業など、多方面に事業を展開している。

 そのグループ各社にデータ分析の部署を設け、さらにSBIホールディングスに各社のデータ活用を連携させるための部署を設置しているという。連結子会社が160社以上もあるグループ企業のデータ活用をどのようにまとめているのだろうか。

photo グループ企業160社以上を持つSBIホールディングスはさまざまな事業を展開している

主要なグループ企業30社のデータ活用の“ハブ”に

photo SBIホールディングス 社長室 ビッグデータ担当 マネージャー 古谷文洋氏

 グループ企業全体のビッグデータ活用を進める役割として、SBIホールディングスには社長室直下にビッグデータ担当の部署を置いている。この部署が誕生したのは今から5年前の2012年。現在は11人が在籍しており、グループ企業のデータ活用を支援している。

 「メンバーは新卒で入社して間もない若手から、他部門から転籍したエキスパート、他社から中途入社で参加したエキスパートまでさまざまです。データ活用における個別最適と全体最適の両方を同時に進めるのが、この部署のミッションと言えます」(SBIホールディングス 社長室 ビッグデータ担当 マネージャー 古谷文洋氏)

 この部署が目指すのは、各グループ企業が最適なビジネス行動を取れるようにする(個別最適)と同時に、SBIグループとしても最適なビジネス行動を取れるようにする(全体最適)こと。そして、全体最適を通じて、新たな仮説やコラボレーションを起こしていくことだ。

 このような横断組織ができた背景には、“個々の事業において改善には限界がある”という気付きがある。ビジネスモデルが変わらない中で、各社の個別最適を目指すデータ分析は成熟しつつあり、その停滞を打破する可能性を探るために、ビッグデータを駆使した全体最適を進めることになったのだ。

 現在は、各社のデータ分析チームと、SBIホールディングスのビッグデータ担当が毎月会議を行い、データ活用の進ちょく確認や先進技術を使った活用について議論している。各社のデータ分析チームでは採用と育成が困難な、ビッグデータやAI、ディープラーニングなどを扱う人材については、SBIホールディングスで採用し、育成しているという。

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