買い切り型から運用型へとビジネスモデルがシフトしつつあるゲーム業界。業界大手のカプコンも既存ブランドのオンラインタイトルをリリースしている。収益のカギを握るユーザー動向の分析に立ち上がったのは、1人の“ゲーム女子”だった。
「ストリートファイター」「モンスターハンター」「バイオハザード」など、数々の大ヒットシリーズを世に出してきたカプコン。同社も他のゲーム会社の例にもれず、最近はスマートフォン向けタイトルなど、オンラインゲームのリリースが増えている。
オンラインゲームのタイトルに多く見られる「運用型ゲーム」は、売り切り型のパッケージソフトとはビジネスモデルが大きく異なる。ユーザーは無料で遊ぶことができ、広告やアプリ内課金が売上の中心となる。そのため、ユーザーの属性や利用状況のデータがビジネスのカギを握ると言っても過言ではない。
1983年の創業から約35年の歴史を持ち、アーケードゲームや家庭用ゲーム機向けのゲームの開発スタイルが主流だった同社では、オンラインゲームの利用状況を分析できる人材と環境が不足していたという。そんな中、ExcelやAccessを駆使してデータ分析業務を一手に引き受けていたのが、二瓶美帆さん(技術研究開発部 通信技術室)だ。
彼女はカプコンに入社して8年ほど、通信販売の顧客対応やシステム管理の仕事をしてきた。データ分析を手掛けるようになったのは約4年前。所属部署でオンラインゲームのプロモーション施策を打つにあたり、ゲームの利用者属性などを分析する必要が出てきたことがきっかけだった。
「どこにメインターゲットを置いて、どこにリーチする広告を打つのか、その検討のためには、『まずユーザーの動向を分析しなきゃダメだよね』という話になったんです。でも、ゲームのプロモーションや企画の担当はそれぞれの仕事があるので、分析に時間をかけられない状況でした。もちろん初めてのことで経験があったわけではないのですが、通販の仕事でユーザーのデータを見ていて、データ分析の必要性を感じていたので、チャンスだと思って『やります!』と手を挙げました」(二瓶さん)
まずはExcelを使って分析を始めた二瓶さん。その存在は少しずつ社内に知られるようになり、分析を頼まれるゲームタイトルも増えてきた。依頼が増えると「ミーティングで使うから、最新の情報をすぐに出してほしい」といった素早いリクエストには応えきれなくなる。また、やりたいことが表計算ソフトでは対応できないという問題も出てきた。
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