働き方改革や業務改革などの変革を起こそうとすると、必ずぶつかる“抵抗勢力”にどう向き合い、どのようにプロジェクトを進めていけばよいのか――数々の企業改革支援を手掛けてきた著者の近著から、そのエッセンスを紹介します。
この記事は榊巻亮氏のブログ「榊巻亮の『ブレイクスルー備忘録』」より転載、編集しています。
2017年4月末に新しい本を出した。『抵抗勢力との向き合い方』だ。
企業変革のセオリーをまとめた『業務改革の教科書』、企業内での会議に焦点を当てた『世界で一番やさしい会議の教科書』に続き、今回は企業変革での「人の抵抗」とどう向き合うべきかを解説した。
この本のテーマは、企業の変革活動、つまり変革プロジェクトにおける「抵抗との向き合い方」である。
何か新しいことをやろうとすると、必ず、
という抵抗にぶち当たる。……もう本当に100%ぶち当たる。
と必ず言われる。
どうしてそんなにネガティブなのかとウンザリするほど言われる。経験のある方も多いはずだ。でも、これを乗り越えないと、変革は成功しないのである。企業で変革を起こすのは本当に大変なのだ。
会社で働く以上、こうした抵抗や衝突は避けて通れない。「何かやろう!」と思っても、こうした抵抗にぶち当たって悪戦苦闘しているビジネスパーソンはたくさんいる。そんな方たちのためにこの本を書いた。
人と人がコミュニケーションし、理解し合い、1つの目標に向かっていくために必要なことを本書には盛り込んだつもりだ。
僕は、成功する変革プロジェクトは必ず2つの質が伴っていると思っている。1つは「企画の質」である。優れたコンセプト、ロジカルな分析や本質に迫った施策案などだ。一般に、プロジェクトを進める際には企画の質にフォーカスが当たるが、変革の成否を決めているのはもう1つの「態勢の質」である。プロジェクトの勢い、関わっている人のやる気、「これで会社を変えるぞ!」という熱量、納得性、モチベーションなどがそれだ。
変革プロジェクトは、実行を担うチームを中心に、経営者や部門長、現場担当者に至るまでさまざまな関係者を巻き込んだ活動になる。当然、皆が危機意識や改善意識を共有していれば態勢の質は向上するが、皆の意識がバラバラであれば抵抗が生まれ、態勢の質はどんどん悪化し、プロジェクトは失敗に終わる。関わった人全員がモチベーションが高く使命感に燃えているなら態勢の質は向上するが、人ごととして捉えてやる気がなければ態勢の質は悪化し、実行にこぎつけることは難しくなるだろう。
立派な計画書があっても、実行されなければ絵に描いた餅。そして変革プロジェクトは、機械でなく、人が行うもの。そう考えると、企画の質と態勢の質、どちらの質が成否を握っているか一目瞭然だろう。
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