サーバ市場が縮小傾向にある中、ベンダーの次なる戦略はどのようなものか。このほど満を持してサーバの新製品を投入したDell EMCの戦略とは。
「いつまでサーバと言い続けるのか」――デルの上原宏 執行役員インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括製品本部長は、デルとEMCジャパン(以下、Dell EMC)が先頃開いた新製品発表会見でこう言い放った。
その新製品とは、同社が「世界シェアナンバーワンの信頼と実績を誇る」と胸を張る第14世代「Dell EMC PowerEdge」サーバである。そんな中での冒頭の発言とは、いったいどういうことか。
まずは、その背景となる話を会見の中からピックアップしてみよう。会見の最初にあいさつに立ったデルの松本光吉 執行役副社長インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括は、市場動向についてIDCの調査結果を踏まえながら、次のように説明した。
「私たちはワールドワイドのx86サーバ出荷台数で、2016年第2四半期以降トップを走り続けており、さらにはクラウドITインフラストラクチャにおいても2016年の売上高でトップに立った」
日本のx86サーバ市場では国産ベンダーを追撃するポジションだが、ここにきて着実に実績を上げつつあるという。さらに松本氏は次のように語った。
「デジタルトランスフォーメーションがビジネスの成長をけん引するようになってきた。加えて、IoT(Internet of Things)がもたらすビッグデータや人工知能(AI)の活用、サイバーセキュリティ問題の深刻化、IT人材不足といった新たな動きも出てきており、これらへの対応を兼ね備えたITプラットフォームがこれから求められるようになる」
松本氏によると、今回発表の新製品はこれらのニーズに対応したサーバで、図1に示したような特徴があるという。新製品の詳しい内容については発表資料をご覧いただくとして、ここでは同氏が語った「これから求められるITプラットフォーム」の内容を頭に入れておいたうえで、Dell EMCが考える「サーバの次なる戦略」を探っていきたい。
なぜ、サーバの次なる戦略が必要なのか。それは、仮想化による統合の進展などにより、サーバの市場自体が縮小傾向にあるためだ。従ってサーバメーカーは次なる戦略を描かないと、IT市場そのもので生き残れなくなる可能性がある。上原氏の冒頭の発言は、そんな時代の変化を印象づけるために発したものとも受け取れる。
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