“クラウドサービスを手掛けない”Dell EMCの勝算はWeekly Memo(1/2 ページ)

DellとEMCの統合に伴う日本での事業展開について、両社の日本法人が共同会見を開いた。「ワンカンパニー」を標榜する両社トップが説いたDell EMCの戦略とは――。

» 2017年02月06日 12時00分 公開
[松岡功ITmedia]

「ワンカンパニー」として5つの取り組みに注力

Photo 会見に臨むデルの平手智行社長(左)とEMCジャパンの大塚俊彦社長

 デルとEMCジャパンが2月1日、今後の事業展開における戦略や体制について共同で発表した。米Dellが米EMCを2016年9月に買収したのに伴い、両社の日本法人が2月から新体制で新事業年度をスタートさせたのを機に記者会見を開いた格好だ。

 米国では統合会社としてDell Technologiesが誕生し、EMCグループはその傘下でDell EMCをはじめとした独立企業として事業運営される形になったが、米国以外では現地法人の統合を急がない方針から、日本でも当面は両社が共同で事業を推進するという。

 Dell Technologiesは、連結売上高740億ドル(1ドル=110円換算で8兆1400億円)、従業員数約14万人で、世界180カ国に事業拠点を持つ巨大ITベンダーとなった。デルとEMCジャパンは、Dell EMCの日本での事業展開を中心に担う。両社ともに2月から新事業年度をスタートさせたのは、Dellの決算期に合わせたからだ。

 デルの平手智行社長は日本での新体制について、「法人格は当面別個のままだが、ITインフラやファシリティ、製品ポートフォリオ、パートナー制度、売上・利益管理、報告・レポーティングライン、市場カバレッジ、そして最も重要なお客さまやパートナー企業から見た窓口の一本化を図り、機能を統合した“ワンカンパニー”として事業を推進していく体制が整った」と説明した。(図1参照)

Photo 図1 「ワンカンパニー」による顧客サポートのフレームワーク

 ただし、Dell EMCが提供する図2に示した製品群については、それぞれ従来、取り扱ってきた分野に基づいて、デルがサーバやネットワーク、クライアントPCなどを、EMCジャパンがストレージやセキュリティ関連製品などを所管するという。

Photo 図2 Dell EMCの製品ポートフォリオ

 平手氏に続いて会見に臨んだEMCジャパンの大塚俊彦社長は、両社が「ワンカンパニー」として推進する事業戦略について、「デルとEMCがそれぞれに持つ製品ポートフォリオと市場カバレッジを掛け合わせた“ツーバイツー(2×2)戦略”を軸として“5本の矢”を撃っていく」と説明。具体的には、図3に示した5つの取り組みに注力し、「国内IT市場におけるDell EMCのシェアを倍増させたい」との目標を掲げた。

Photo 図3 「ワンカンパニー」による日本での事業戦略
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