縮小するサーバ市場でDell EMCはどう戦うのかWeekly Memo(2/2 ページ)

» 2017年07月18日 11時00分 公開
[松岡功ITmedia]
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サーバを中核とした「コンピュート」が今後のメインに

 上原氏の冒頭の発言は、会見で新製品の説明が一通り終わった後、PowerEdgeがDell EMCソリューションにおいてどのような存在かを示したときに飛び出した。同氏は冒頭の発言後、次のように話した。

 「PowerEdgeは今後、Dell EMCソリューションの中核になる(図2)。つまり、サーバは今後、単体だけでなくSoftware-Defind、すなわちソフトウェアで定義されたさまざまなコンピュート製品の中核を成す形で組み込まれていく。その際、DellとEMCが統合したことにより、DellのサーバとEMCのストレージを、開発当初から多様なニーズに応じて組み合わせた製品を提供できるようになった。このアドバンテージは非常に強力だと自負している」

Photo 図2 PowerEdgeは下記に示されたDell EMCソリューションの中核になる

 このコメントからすると、これからはサーバというよりも、サーバを中核とした「コンピュート」というカテゴリーで捉えるべきではないかというのが、上原氏が主張したかったことのようだ。

 さらに、同氏はそのコンピュート製品として、Dell EMCならではのソリューションを紹介した。図3に示した「Dell EMC Readyソリューション」がそれである。このソリューションは「Ready」の名の通り、さまざまな用途に応じたハードウェアとソフトウェアを組み合わせて最適化を図り、すぐに使える状態にしたパッケージ製品となっている。まずは「Ready Nodes」「Ready Bundles」「Ready Systems」の3種類を用意している。

Photo 図3 Dell EMC Readyソリューションの概要

 加えてDell EMCは、コンピュート製品という観点からすると、図1や図3にも表記されているが、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)製品にも注力している。HCI製品は、サーバとストレージ、仮想化機能などを統合してITインフラのシンプル化を図り、ユーザーがアプリケーション開発やサービス対応に集中できる環境を提供しようというものだ。

 上原氏は、「PowerEdgeはHCI製品のサーバとしても適用されている。その意味では、ReadyソリューションやHCI製品がPowerEdgeの重要な拡販策であり、Dell EMCのコンピュート製品戦略となる」と話す。ReadyソリューションやHCI製品は、先に松本氏が語った「これから求められるITプラットフォーム」を目指したものでもあるはずだ。

 市場の縮小とともにサーバという表現がなくなるかどうかは分からないが、コンピュートもしくはITインフラのニーズが今後も拡大していくことは間違いない。とりわけ、このところのHCI製品の需要増加ぶりを見ると、DellとEMCはそうした市場の動きを見越して統合したのではないか、との印象が一層強くなる。

 さて、Dell EMCの次なる新製品は「第15世代サーバ」なのか、それとも「新世代コンピュート」なのか。注目しておきたい。

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