市販のペンで手書きした“点”が認識タグになる技術 NECが開発

NECは、市販のペンで書いた点(ドット)を個別に識別する技術「マイドット」を開発。モノに1滴のインク点を付けるだけで、バーコードやICタグのように識別や認証ができる。

» 2017年07月20日 12時30分 公開
[金澤雅子ITmedia]

 NECは7月19日、市販のペンで手書きした点(ドット)をカメラで撮影するだけで、個々のドットを識別する「マイドット(mIDoT)」(識別ドット)認証技術を開発したと発表した。直径1ミリ程度のドットでも識別でき、バーコードやICタグのように利用できるという。

 新技術は、インクの微粒子が作り出す目に見えないほどの微細な模様(パターン)を画像認識し、ドットの1つ1つを識別する。書かれた際にインクの微粒子によってランダムに作り出される模様は、同一のものが発生しにくく、複製が困難なため、セキュリティを担保でき、認証手段や確証として利用できるという。手書きでさまざまなものに手軽に付与できる利便性を備えるうえ、機械印刷による均一なドットでも識別できる。

 例えば、バーコードが貼り付けられない超小型の電子部品の識別タグ、モノの貸し借りや持ち出しの物品管理タグ、入退場に用いるカギやチケット、実際のモノと電子的な決済や伝票データをひも付けるための識別タグなど、幅広い応用が期待できるという。

Photo 「マイドット」の認証手順(登録・識別・認証)

 一般的な画像認識技術では、照合する物体の画像から、角や縁などの明瞭な部分を特徴点として抽出し、その周辺の局所的な明暗変化の方向と物体の向きを合わせて、その部分の模様が同一かどうかを照合する。一方、インクの微粒子による模様では、明暗の変化を定めにくく、照合に適さない特徴点が大量に抽出されてしまう。全ての特徴点を照合すると、処理時間がかかる上に高い精度の識別結果を得られなかったとのこと。

 新技術では、模様から抽出される特徴点周辺の明暗の偏り方を数値計算し、照合に必要な位置決めの基準となる明暗の方向を安定的に評価できるようにした。これを基に照合しやすい特徴点を絞り込み、高速で高精度な識別を実現したという。

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