投資家からの圧力でCEOを辞任したUberのトラヴィス・カラニック氏が、取締役会に無断で2人の新取締役を指名した。近く開かれる取締役会で自分の権限が縮小されるのを避ける目的とみられる。
米Uberの前CEOで現在同社の取締役を務めるトラヴィス・カラニック氏は9月29日(現地時間)、新たに2人の取締役を指名したと自身のTwitterアカウントで発表した。
米Xeroxの元CEO、ウルスラ・バーンズ氏と、米Merrill Lynchの元CEO、ジョン・セイン氏だ。
Uberの他の取締役と事前に相談していないらしく、Uberは米Bloombergなどのメディアに対し、「バーンズ氏とセイン氏の取締役指名はUberとその取締役会にとって完全に不意打ちだった。こういうことがあるから、われわれはすべての従業員と株主が誇れる企業を構築するための世界クラスのガバナンスを確立しようとしているのだ」という声明文を発表した。
このガバナンスは、カラニック氏が保有する議決権の多い株式を1株1議決権に変更するなど、同氏の権限を縮小する目的を含むという。カラニック氏はBloombergに対し、「2人を指名したのは、取締役会が最近、取締役会の大規模再編と議決権の大幅変更を提案したからだ。適切な検討には、ウルスラとジョンのような経験豊かなメンバーを含む取締役全員が参加することが重要だ」というメールを送った。
米Recodeが紹介した従業員宛メールで新CEOのダラ・コスロシャヒ氏はカラニック氏による取締役会に無断での新取締役指名を「がっかりするようなニュース」としつつ、「今すべきことは共に集中して前進することだ」と語った。
カラニック氏は6月、投資家からの圧力により辞任したが、取締役にはとどまっている。これが8月末まで新CEOが決まらなかった一因にもなっているとみられる。
新ガバナンスについての取締役会の会合は3日に開かれる見込みだ。
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