AIとIoTの話も興味深いものだった。AIについては、NTTグループのAI技術群「corevo」のうち、NTT Comは自然言語系の「COTOHA」や分析系の「時系列ディープラーニング」を提供。図2のようなアプローチを行っている。とくに、COTOHAについては「日本語に対応した言語解析エンジンとしては他の追随を許さない」(庄司氏)としている。(図2)
また、IoTについては2015年からサービスを提供開始。デバイスからネットワーク、クラウド、コロケーション、データ収集・分析プラットフォームまでをワンストップで、用途に応じたサービスとして提供しているという。(図3)
そして、3つ目は「パートナリングの推進」である。パートナーの強みとNTT Comの強みを組み合わせて新たな価値を提供していくとしている。今回のイベントでは、2017年に入って相次いでパートナーシップを結んだ日本マイクロソフト、SAPジャパン、グーグルのトップと庄司氏がそれぞれ対談する講演も行われた。ちなみに、日本マイクロソフトおよびグーグルについては、今回のイベントに合わせて新たな協業も発表しているので参照いただきたい。
さて、庄司氏の講演を聞いてあらためて感じたのは、これまでサービス戦略といえば、クラウドサービスに関連する話が前面に出てきていたが、それが今回はすっかり様変わりしたことだ。筆者もこれまで本コラムにおいて、2017年4月17日掲載の「NTT Comがクラウド戦略を転換 その真意は?」、2016年4月18日掲載の「NTT Comはクラウド市場で“ITジャイアント”に勝てるのか」などと書いてきたが、どうやら「クラウド」はもう話題の中心ではないようだ。
では、NTT Comはデジタルトランスフォーメーションの実現に向けてビジネスを転換したのか。そうではなく、これまでNTT Comが手掛けてきたクラウドサービスはデジタルトランスフォーメーションを支えるインフラとなり、その上で提供するサービスがビジネスの決め手になってきたのである。
このビジネスの変化は、庄司氏が語った3つの重点的取り組みにも表れている。つまり、1つ目は言葉こそ使っていないが、要はクラウド基盤の話だ。しかし、2つ目と3つ目はまさしくビジネスの決め手の話である。
さらにいえば、このビジネスの変化はNTT Comに限らず、Amazon Web Services(AWS)をはじめとして他のクラウドベンダーにも起きている現象である。逆の見方をすると、この動きはクラウド基盤が根付き始めたことの証左ともいえる。今後もこのビジネスの変化の潮目を注視しておきたい。
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