Fall Creators Updateのタイミングで提供された機能としては、このほかにも「Windows AutoPilot」や「Windows Analytics」がある。この2つの機能は、FCUの機能というよりも、企業がWindows 7などからWindows 10へ移行する場合の移行支援ツール、Windows 10 クライアントの管理を容易にするためのクラウドサービスだ。
Windows AutoPilotは、企業でWindows 10を展開する場合、さまざまな初期設定を行う必要がある。例えばセキュリティの設定やネットワークの設定、アプリケーションのインストールなどがある。これらの作業をWindows AutoPilotでは、簡単に行えるが、Azure Active DirectoryやIntuneの環境が前提となる。
Windows Analyticsは、クライアントのバージョン情報や更新プログラムの適応状況などをクラウドから確認できる「Update Compliance」、そしてデバイスの稼働状況や正常性を一覧できる「Device Health」が用意されている。
このほか、年2回行われる大型アップデート時にダウンロードするファイルサイズを小さくしたり、各クライアントのアップデート時間を短縮する「Unifed Updata Platform」と「Windows Update Agent」という機能も用意されている。これらの機能は、企業向けだけでなく、コンシューマーユーザーにもメリットがある。
Win10 FCUは、さまざまな企業向け機能があるものの、Windows 7などから移行する決め手にならないかもしれない。WDAGはWindows 10 Enterprise版が必要で(Windows 10 Proでは機能が有効にならない)。WDATPはWindows 10 Enterprise E5のライセンスが必要になる。今後は、企業でクライアントOSとして、Windows 10 EnterpriseやWindows 10 Enterprise E5などのライセンスを採用してもらおうという意図が見え隠れする。
今後、Windows 10 Proを利用している企業は、徐々にWindows 10 Enterpriseへの移行やライセンスの変更が必要になってくるだろう。そうしないと、Windows 10の企業向け機能を十分に活用することができなくなる。
Windows 7を導入している企業は、Windows 7の延長サポートが2020年1月にあることを考えれば、できるだけ早くWindows 10への移行計画を検討すべきだ。Win10 FCUに移行しなかったとしても、2018年のアップデート時には移行できる状態にした方がいいだろう。2019年になると、さまざまな企業がSIなどに作業を依頼することを考えれば、慌ただしくなるのは避けられない。
既にWindows 10を導入している企業にとっては、サポートなどの問題がなければ、FCUをいったんパスするという選択肢もある。2018年春や秋のアップグレードの方がWDAGなど、多くの機能が安定し、クラウドサービスも充実していると考えられるためだ。
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