仮に、業務プロセスレベルでの効率化を実現しようとするなら、ロボット化したいタスクの洗い出しだけではなく、現状の業務フローを整理、把握した上で、RPA稼働後の業務フローまでを検討する必要があるでしょう。RPAを使う場合、業務フローを変えた方が生産性が高まるケースが多々あるためです。
RPA稼働後の業務フローを検討しながら、どの業務をロボット化できるかを洗い出し、候補となる業務を整理します。その後ROIなどで比較しつつ、実際にRPAを導入する優先順位を決め、投資金額を考慮しながら、RPA化する業務を決定するのが良いでしょう。
これが一般的なRPA導入のアプローチであり、最大限の効果を得るための方法だと考えています。
ここまで記事を読んできた方なら、「何を当たり前のことを」と思われるかもしれません。しかし、先ほど示したような、効果の高いRPAの導入方法を採用しない企業が多いのもまた事実です。それはなぜでしょうか。私は、各ユーザーが、RPAの導入を依頼するパートナー会社の影響を大きく受けているためではないかと考えています。
これまで、RPAの導入にあたっては、RPAの技術を保有している会社をパートナーにして、導入を進めるケースが多かったのではないでしょうか。その場合、ロボット化する業務をユーザーが決め、パートナー会社がロボットを開発し、出来栄えをユーザーが確認しながら、導入を進める形になるのが一般的かと思います。
しかし、この方法ではタスクごとの自動化になりやすいと私は考えます。業務プロセスレベルで効率化を図ろうと考えるならば、RPAの技術だけではなく、対象となる業務の知識も必要になります。言いかえれば、BPM(Business Process Management)のようなアプローチが必要なのです。
今まで日本は“RPA黎明期”で、試行錯誤しながらRPAを導入してきた事例も多かったと思いますし、導入パートナーと言っても、選べるほど会社がなかったと思います。しかし、今は導入パートナー企業もさまざまな特徴を持つ会社がそろってきています。タッグを組むパートナー会社の知見や経験はどれほどか。ツール同様、RPAの導入目的に合ったパートナー会社選びが重要になっているのです。
RPAを試しに導入したはいいものの、思ったような効果が上がっていない……そんな企業は、目的を果たす上で適切な「ツール」「導入方法」「導入パートナー」を選んでいたか確認してみるのが良いでしょう。改善の余地があるならば、それらを見直した上で、本格的な展開に進むことを強くお勧めします。
次回はロボットの開発、運用時の留意点について取り上げようと思います。お楽しみに!
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