画期的な導入効果が確認できる事例も出ているRPAですが、今後はどのように進化していくのでしょうか。日本RPA協会の発表によれば、現時点のRPA技術は「Class1」と定義されています。定型業務を自動化する一方で、例外的な対応については人間のサポートが必要――という状態です。
次の段階である「Class2」は、AI(ディープラーニング)などとの連携によって、非構造化情報も扱えるようになり、非定型の業務も、一部代行可能なレベルになるとしています。現時点でも、AIで手書き文字を認識して入力するという事例も出てきていることを考えると、Class2はそう遠くないうちに実現できると感じています。
そして、当面の最終段階である「Class3」では、RPAが高度なAIと連携し、業務プロセスの分析、改善から意思決定までの自動対応が可能となる「高度な自立化」を果たします。現時点の見込みでは、2021年ごろまでにはこのレベルに到達するのではないかといわれています。
RPAの技術は日々進化しています。今後はさらに高度なロボットが誕生し、対応できる業務の幅も広がるでしょう。今でこそ、RPAは知る人ぞ知るツールかもしれませんが、労働人口の減少に伴い、労働力不足が深刻化すれば、不可欠なソリューションとなるはずです。
また、そこで活躍するロボットが(ある程度)自律的な判断を行うようになるならば、その管理は今まで以上に重要になるでしょう。自立したロボットを放置すれば、RPAの導入効果が薄れるだけではなく、仮に想定外の動きを行ってしまった際に、逆効果になってしまう事態もあり得るためです。
だからこそ、RPAは導入時の段階から、将来を考慮しつつ、ロボットの集中管理を考えながら導入することが重要だと私は考えます。前回お話しした、ロボットセンターや「Robotic Life Cycle Management」の考え方は必須になると言っても過言ではありません。
4回にわたって続けてきた連載は今回が最後となります。これからRPAを導入しようとされている方や、RPAを導入したけれど、あまり効果が出ていないと感じているユーザーの方、あるいは、これからRPAビジネスに取り組もうと考えるベンダーの方など、さまざまな方にとって、RPA検討の一助になれば幸甚です。
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