情シスが働き方を変えていく! LT大会でヒントやアイデア続々の「俺情2017年大忘年会」俺たちの情シス 第10回 レポート(3/4 ページ)

» 2017年12月31日 07時00分 公開
[タンクフルITmedia]

エンジニアのスキルとマネジメントのスキルは別物

 Cさんが所属する運輸業システム子会社は、2014年に親会社がホールディングス制に移行した際に作られたグループ唯一のIT関連会社。以前は、サーバとサーバ周りのシステムを手掛ける会社と、端末やネットワークを管理する会社の2社があり、これが統合された会社にお勤めです。

 Cさんは、この会社に転職後、いろいろなスキルパスを経験。エンジニア、テクニカルPM、サービスマネジャー、ITアーキテクト、ITストラテジストを経て、現在は組織管理職であるマネジャーを務めています。

 Cさんは「IT系の会社の場合、組織管理者は基本的なビジネススキルとテクニカルスキルがベースとなり、その上にリーダーシップとマネジメントの能力が必要となります」と、マネジメントの難しさを語りました。

 「以前は、テクニカルスキルで周囲をけん引するリーダーが主流でしたが、仕事が多様化し、複雑化した現在は、1人のリーダーが全体をカバーしてリードすることは難しい」と説明。今、必要なのは、「状況を把握、全体をコントロールするマネジメント力」と強調しました。

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 ここで、Cさんのような「エンジニア出身のマネジャー」の場合、考え方の切り替えが必要になるといいます。エンジニアは「タスクを全部やらないと気が済まない」「テクニカルに管理したがり、細かいことが気になる」といった気質があると分析。しかし実務では、マネジメントの範囲が広いため、細かくこだわりすぎると業務が回らなくなります。

 Cさんの場合も、「メールが日に300通届き、日に10件以上の承認をこなす」といった毎日の中では、部下のフォローをするだけでも自分のタスクが増えてしまい、対応しきれない状況になってしまったと振り返ります。「要員計画やプロジェクトの課題解決が一向に進まず、もう無理です……と。素養がないので辞めさせてください、と部長に申し出た」そうです。

 その後、ITストラテジストに転身を果たしたCさん。その業務をこなすうちに、「10年くらい先を見ながら企画書を書かないとダメだ!」ということに“覚醒”し、「次世代エンドポイント対策導入計画」や「デバイス領域の5カ年計画」といった未来を見つめた企画を次々に発表しました。ちなみにこの覚醒は、フジテックの武闘派CIO、友岡賢二さんと、サーバーワークスCEOの大石さんが登場した「俺たちの情シス」がきっかけになったとのこと。改革派トップの話を聞くうちに、過去の自分があまりにも後ろ向きだったことに気付き、発奮したそうです。

 Cさんは、自身の経験から、「エンジニアのスキルとマネジメントのスキルは別物」とし、「エンジニアがいきなりマネジメントをやるようになった場合は気をつけよう」と呼びかけました。

 また、Cさんの会社は現在「垂直レベル型の人事制度」だそうですが、Cさんは、これを「職能別の人事制度」に移行する計画を進めていると説明。新しい制度では、多様なスキルパスが用意され、より柔軟な人事が行えるようになるそうです。

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仕事内容が変わっても情シスの“心”は変わらない!

 続いて登壇したのは、某NPO法人でIT支援や内部相談に携わるSさん。同施設は富山に寮と支援施設があり、横浜と富山の間をVPNの拠点間接続で結んでいます。

 職場では、「ITに詳しい人が少ないため、いろいろな『事件』が起きていた」とSさん。

 例えば「Wi-Fiだけが使えればOK」ということで購入したタブレットは、外出時にメールが受信できず、共有フォルダが見えないことが判明し、その後1年ほど放置されたまま、皆に忘れさられていたとのこと。これは「取りあえず買う」で失敗した典型例で、「考える意識」が大事と振り返りました。

 さらに、あるときにそのタブレットが放置されていたことに気付き、再度、活用しようということになったものの、今度は誰かが2段階認証の設定をしていたため、「開けない状態」に……。

 2段階認証のパスワード送付先として画面に表示される電話番号の下4桁から、電話の持ち主を割り出せたものの、聞いてみると、「認証の仕方が分からず、タブレットが使えなくなったので壊れたと思って放置した」ことが判明。「一般の人には多要素認証は早すぎる技術だったようです……」(Sさん)

ALTALT

 Sさんが勤務するNPO法人は、不登校の生徒に対する教育支援などを行っています。Sさんは「不登校の要因には、ITが関連している」と語ります。LINEやFacebook、TwitterなどのSNS上でのいじめなどが問題になることがあるにもかかわらず、理事長や先生方にIT関連の知識が少ないケースが多く、今ではSさんが説明をしたり質問を受けたりしています。

 かつて情シス業務を担当していたSさんは、現在は情シス的な業務から離れ、そのように理事長や学校の先生たちに「ITに関係する話をする人」になっているそうですが、ITを使って業務を改善するという視点は変わりません。俺情スタッフの「心が情シスなら、情シス」という言葉に元気をもらったと話してくれました。

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