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» 2018年01月25日 07時00分 公開

守りの情シスだって攻められる セゾン情報の情シスが“自ら考え、動くようになった”わけ(3/3 ページ)

[後藤祥子, 大類賢一,ITmedia]
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“手段が目的化する不幸”を起こさないマネジメント

 高橋氏にとって、情報システム部門のトップという仕事は、“技術だけを知っていればいい”というものではない。ともすれば現場で起こりがちな、“手段が目的化する不幸”が起こらないよう、ブレずに顧客本位をつらぬくマネジメントを徹底している。

 「IT部門のスタッフ自らがワクワクするものを作れなければ、お客さまにいいものを届けることなどできない。ワクワクするものを提供するには、開発側に楽しむマインドが必要」という考えから、スタッフのモチベーションの維持に最大限の注意を払っているのだ。

 「スタッフの行動はプラスに働くことも、マイナスに働いてしまうこともあります。しかし大切なのは、いつか振り返ったときのこと。あるところまで来てスタート地点を振り返ったときに、『自分はこんなに高いところまで上ったのだな』と実感できることが重要なのです。

 このようなマインドで仕事をしてもらうには、結果だけを見るのではなく、プロセスを見ることが重要です。それと同時に、お互いに信頼できる関係であることも大事。新しいことに挑戦すれば、山もあれば谷もある。それでも一歩踏み出せばスタッフは成長し、これから情シスがやっていくべき業務にも貢献してくれるはずです」(高橋氏)

 こうした新たなマネジメントが奏功した例も出てきているという。

 あるとき、情報システム部門が新たに提供したサービスが、ユーザー部門にとても喜ばれたことがあった。その担当者は意欲が高まり、「そこまで頑張らなくてもいいよ」といっても「やらせてください」と、自ら積極的に行動するようになった。それはかつて、既存システムの運用管理だけを請け負っていた頃の情報システム部では考えられないことだった。

 「苦労して挑戦したことが評価されたときの喜びは、リーダーがいくら口で伝えても分からないこと。それを実感できる環境を用意することがリーダーの役割なんです」(高橋氏)

「役割にフォーカスした人事制度」で会社を変えていく

 セゾン情報システムズは2017年4月、人事制度の大改革に踏み切っている。ポイントは、「“役割を認識し、どう貢献するか”にフォーカスした改革」。ここでいう役割は“職種”ではなく、業務へのかかわり方を指している。

Photo セゾン情報システムズ チーフHRプランナーの北園康太氏

 例えば、プロジェクトを立ち上げるときには、実務を堅実にこなす人だけでなく、新たなビジネスを考え出す人や、革新的なアイデアを考える人も必要になる。さまざまな役割の人が集まって結果を出すのが会社の在り方――という考えから、スタッフ一人ひとりの適性や志向を査定し、今の役割に合っているかを見ているという。

 評価軸も大きく変わった。以前は職能と業績で評価していたが、改革後は、ポテンシャル軸とパフォーマンス軸という2つの軸で評価している。

 「今の自分からどう成長できたか。ありたい姿と今の能力、そして期待される姿とのギャップをどれくらい埋めることができたのか――。それが見えるからこそ次へと向かうことができるので、きちんと可視化することが重要です。評価軸を変えたのは、従業員の自己成長を会社が支援するという意思の表れ。だんだんと成果が見え始めており、今、まさに新しい一歩を踏み出していると感じます」(セゾン情報システムズ チーフHRプランナーの北園康太氏)


 IT部門や情報システム部門は会社が成長していくための大事なエンジン。だからこそ、そこにいるスタッフ自身が生き生きと働いていなければ、人を喜ばせる商品やサービスを提供できるはずもない。

 そのためには旧態依然とした働き方やビジネスプロセス、マネジメントの方法を疑い、ITの力で最適な方法に変えていかなければならない。疲弊した状態からは何も生まれないどころか、取り返しのつかないことが起こってしまう――。

 こうしたセゾン情報システムズのマインドチェンジこそが、大きな痛みからの最大の学びだったのかもしれない。

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