XPの反省をどこまで生かせるか MSのWindows 7 EOS対策、あの手この手Microsoft Focus(2/2 ページ)

» 2018年02月03日 07時00分 公開
[大河原克行ITmedia]
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Windows 10、Office 365、Microsoft 365によるIT最新化の付加価値を訴求

 日本マイクロソフトが、2年前からという早いタイミングで積極的な移行支援策を発表した背景には、もう1つの狙いがある。

 それは、日本マイクロソフトの高橋執行役員常務が、「危機感を煽るのではなく、新たなデバイス、新たなサービスに移行することで改革を推進できるというメッセージを出していきたい」と語るように、新たな環境への移行を前向きに捉えた提案をしていきたいという狙いだ。「延長サポートの終了は1つのきっかけであり、理由にはならない。付加価値をしっかりと訴求することで、なぜ、ITの最新ソリューションに移行しなければならないことを伝えていきたい」とする。

 これはPCメーカー側の思いも同じだ。

Photo 日本HPの岡隆史社長

 日本HPの岡隆史社長は、「年々倍増しているサイバー攻撃への対応といったリアクティブな観点からの置き換えではなく、働き方改革として生産性を上げたい、あるいは企業の競争力を高めるために、新たなPCを導入したいという意思が働く契機にしたい」と語り、「Windows XPの延長サポート終了時には前年比50%増という動きが見られたが、これだけ需要が集中すると、単なるハードウェアの入れ替えに追われてしまうことになる。いまからスタートをすれば、ITを活用することで会社がよくなるということを、全国津々浦々のお客さまに説明できる。お客さまに新たな価値を提供できる提案をしなくてはならない」と語る。

 そうした背景から、日本マイクロソフトが打ち出すのが、「ITモダナイゼーション」である。

 ITモダナイゼーションという言葉は、従来使われてきたが、テクノロジーの進化によって、その言葉が意味するターゲットが異なっている。

 日本マイクロソフトの平野社長は、「例えば、モダンワークプレースの実現という点では、新たなOSへのアップグレードを指すことが多かった。だが、クラウド化やAIの進展、さらには、MRなどの新たな技術が登場することで、業務効率や生産性向上だけでなく、クリエイティビティの場を創出できるようになったり、新たなビジネスモデルの構築につなげことができるようになったりする」と語る。

Photo 日本マイクロソフト 代表取締役社長の平野拓也氏

 とくに、AIの活用によって、これまでにない価値を創出できるのは明らかだ。

 日本マイクロソフトでも、社内で「My Analytics」を活用することで、効率的なミーティングやメールの活用法などをAIが提案し、それによって、付加価値の高い仕事が行える時間を創出した事例を紹介。4部門合計で3579時間を削減し、7億円のコスト削減を実現したことに触れた。ここでは、「単に生産性を高めただけでなく、部門間の連携を強化することで迅速な意思決定につなげること、作業時間の削減により、時間の使い方を付加価値領域へと転換を図ることができるようになった」(日本マイクロソフトの高橋執行役員常務)とする。

 このようにAIという新たな技術を活用することで仕事のやり方を変えるのが、新たなITモダナイゼーションというわけだ。

 日本マイクロソフトの平野社長は、「Windows 7、Office 2010は、もはやモダンではない。新たなテクノロジーを活用するには、Windows 10と、Office 365、Microsoft 365の新たな環境に移行することが前提となる」と語る。こうしたメッセージが、ユーザー企業にしっかりと届けることができるかが、これから2年間の活動の鍵になる。

コンシューマー向けも2020年に90%移行を目指す

 一方で、個人ユーザーに向けては、延長サポート終了の1年前となる2019年1月から本格化する予定だ。

 日本マイクロソフト Windows&デバイスビジネス本部の三上智子本部長は、「コンシューマー市場に向けては、活動を間延びさせないため、集中的な訴求活動を行うのが効果的だと考えている。2019年には、消費増税の動きも見込まれ、これも、コンシューマーユーザーのPCの買い換えにはプラスになると考えている」とする。

 この1年をかけて、個人ユーザー向けの移行支援策を準備することになり、「コマーシャル市場と同様に、2020年には90%の移行を完了させたい」(日本マイクロソフトの三上本部長)とする。

 いよいよ始まったWindows 7およびOffice 2010からの移行支援策。Windows XPの反省をどこまで生かせるか。

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