人工知能で警備レベルが大幅進化 ALSOKが「4K」と「5G」に注目する理由(1/2 ページ)

警備業務におけるIT活用を積極的に進めるALSOK。同社が注目し、準備や導入を進めているのがAI、4K、5Gといった先端技術だ。これらの技術は、警備のあり方を一変させるだけの力を持っているという。

» 2018年02月05日 08時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]

 IoTや人工知能といった技術の革新は、さまざまなビジネスに影響を与えており、警備をはじめとするセキュリティサービスの姿も今、大きく変わろうとしている。人的なサービスであるが故にIT化が遅れていたが、人口減少による人手不足などを背景に、ITの活用が求められているのだ。

 大手警備会社の綜合警備保障(ALSOK)では、監視カメラの映像解析などを中心に、IT活用を積極的に進めており、中でも同社が今、注目している技術は「4K」と「5G」なのだという。

犯罪の多様化、凶悪化で警備ビジネスのニーズが変化

photo ALSOK 商品サービス企画部 次長 干場久仁雄氏。2018年1月末に、六本木で行われたイベント「THE AI」で講演を行った

 警備業務のIT化が求められる背景には、犯罪傾向の変化と、それに伴うビジネスモデルの変化があるという。1965年に設立したALSOKは、金融機関などを始めとする施設の警備を中心にビジネスを展開してきた。

 監視カメラや人感センサーなどから得られたデータでアラートを出し、25分以内に警備員が駆け付ける。日本全国で、年間で376万回もの出動要請があるそうだ。しかし、同社商品サービス企画部の干場氏によると、最近は施設警備のニーズは減ってきているという。

 「機械警備が普及するとともに、侵入窃盗の件数は減り続けています。2002年からの15年間で4分の1程度になりました。一見安全になったように思えるかもしれませんが、代わりに別の犯罪が目立つようになりました。金品ではなく、身体そのものを狙うようになっている。犯罪が多様化することで、安全、安心を取り巻くニーズやビジネスは大きく広がっているのです」(干場氏)

photo 機械警備が普及するとともに、侵入窃盗の件数は減り続けている

 金品を狙うにしても「オレオレ詐欺」のように、その手口は巧妙化しており、DVやストーカー、連れ去りといった身体を狙う犯罪も起こっている。海外では、米ラスベガスでの銃乱射事件やトラックテロといった凶悪な無差別殺人が発生していることもあり、今後、2020年の東京オリンピックに向け、こうした犯罪を抑止する力として、警備サービスの重要度が高まってきているのだ。

 「犯罪を未然に防ごうと思うと、単純にカメラや人員を増やしても、はっきり言って効果は少ない。非常に広い範囲を監視する必要があり、予兆の段階で対応しなければならないためです。ここでITの力が生きてくると考えています」(干場氏)

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