一方、AI・ロボット技術への不安については全体として、「とても不安に感じる」10.4%と「やや不安に感じる」42.7%の合計が53.1%、「あまり不安を感じない」37.3%と「まったく不安は感じない」9.6%の合計が46.9%となり、不安を感じる人が感じない人を6ポイントほど上回る結果となった。
図3が、その性別および年代別の割合を示している。性別でみると、「不安に感じる」と回答した人は、男性が49.7%、女性が57.3%と、8ポイント近い差が見られた。
また、年代別でみると、30、40代は他の年代に比べて「不安に感じる」割合が高く、とりわけ40代では「とても」と「やや」を合わせて61.7%と、6割を超えた結果が明らかになった。
では、具体的にどのような不安を抱いているのか。仕事面では図4に示すように、「システムエラーによる事故や混乱が生じる」が全体で35.7%と最も高く、以下、「AIやロボットに自分の仕事を奪われる」27.2%、「投資にお金が掛かる」22.3%などと続いた。
また、日常生活面では、「人間が退化する」と「失業者が増え、経済が悪化する」がともに全体で34.6%でトップとなり、以下、「人と人の触れ合い・コミュニケーションが減る」29.9%、「AI・ロボットが暴走し、人間の脅威になる」22.7%、「AI・ロボットに監視され、プライバシーがおびやかされる」15.9%などと続いた。
そして、AI時代においてビジネスパーソンに求められるスキル・能力を聞いたところ、図5に示すように、「コミュニケーション力」が全体で40.7%と最も高く、とくに女性は47.6%と半数近くに上る結果となった。以下、「創造力」30.3%、「ITスキル」24.9%、「協調性」21.3%、「情報収集力」20.0%などと続いた。
この結果について、日本能率協会の曽根原幹人 理事・KAIKAセンター長は「AI・ロボット技術を有効に活用するには、多様な組織や価値観を調整、説得、取りまとめるといったことが必要となる。AI時代だからこそ、一層コミュニケーション力に磨きをかける必要があるといえる」と語った。
最後に、筆者の見解を述べておきたい。これからの時代はフィジカル面や情報処理能力において、AI・ロボットが人間をますます上回っていくだろう。ただ、大事なのは人間とAI・ロボットの優劣を競うことではない。図5の結果を踏まえて言うならば、人間ならではのコミュニケーション力や創造力と、AI・ロボットが得意とする正確性を組み合わせながら未来を切り開いていくことにあるのではないか。
もう1つ述べておきたいのは、こうした調査結果などを通じて、人間にしかできないことは何か、さらに言えば、人間の尊厳とは何かを、考える機会をもっと増やしていくことが大事なのではないか。本コラムもその小さな一助になればと考えている。
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