日本と世界における経営課題 R&Dとテクノロジーの意識に大きな乖離「2030年」に対する不安も(2/2 ページ)

» 2018年02月14日 16時00分 公開
[田中宏昌ITmedia]
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DX推進は一致するも、国内外で差異が見られる結果も

 黒田氏は「日本人はこの手のアンケートに控えめに答える傾向があることを考慮する必要があるものの、海外のリーダーに比べて日本企業の方が将来に対して不安感を持っている比率が高く、デジタルトランスフォーメーションの実現に向けた課題認識はさらに高い結果になった。特に将来に向けたビジョンと戦略が足りていないと69%が回答する一方で、技術的な制約が課題と判断している割合は27%と少なく、何とかなると思っている。あるいは、まだそこを考えるまで進ちょくしていない可能性もある」と指摘する。

photo 赤色の数字が日本企業を抽出したもので、将来に向けた不安感や課題認識について高い数値になっている
photo 日本企業のリーダーはビジョンを早く出そうという意識が高い

 調査結果では、未来への見通しや直面する課題についてばらつきが見られるが、デジタルトランスフォーメーションという変革を推進していく必要性は、グローバルのリーダーで見解がほぼ一致しているという。

 「デジタルトランスフォーメーションを促進するという点では、日本企業とグローバルで割合に大きな差はなく、プログラミングやソフトウェア開発技術を全従業員に教育すべきと回答しているのが8割近いのも印象的だ。その一方で、グローバルでは85%がR&Dがビジネス推進の原動力になっていると答えているのに対し、日本企業は36%と極端にギャップが見られた。日本でR&Dは基礎研究的なイメージで、現場に近くないと思っているのかもしれないが、R&Dを活用して細かく試行錯誤をしていかないとダメな時代にもかかわらず、これは憂慮すべき事態だ」(黒田氏)

photo デジタルトランスフォーメーション(DX)の促進では、日本と海外で割合がほぼ似ていた
photo 研究開発に対する部分では日本とグローバルでギャップが大きかった

 最後に黒田氏は、「本調査で、世界中のビジネスリーダーが生き残りをかけてデジタルトランスフォーメーションに努力し時間を割いているのが確認できた。日本企業についても、グローバルで差異も垣間見えたが、まずはビジョンと戦略から考え、スタッフの準備不足や時間・費用の制約といった障害を解消し、変革を推進していけば、世界のトップに立てる余地は十分にあると考えている。自分の会社がどこに向かうのかを、きちんとリーダーが決めるという第一歩を踏み出すのが大切だ。ここのスピード感をぜひ持ってほしい」とアピールした。

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