ゼロからIT部門を作り直した――急成長する不動産企業「オープンハウス」の舞台裏【特集】Transborder 〜デジタル変革の旗手たち〜(2/4 ページ)

» 2018年02月26日 08時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]

データドリブン経営を目指し「Domo」を採用

 そんな同社は最近、データ基盤の構築に力を入れている。その理由は、ビジネスや意思決定のスピードアップにあるという。

 住宅業界は、大きく「土地の仕入れ」「家の建築」「家の販売」という3つの業態があるが、オープンハウスは自ら土地を仕入れて、独自設計の家を建て、それを消費者に販売するという、3つの業態を全て自社グループ内で行う製販一体のビジネスモデルを採用している。各工程は事業部として分かれており、基幹系システムもそれぞれクラウド上に構築していたため、そのデータ統合が課題となったのだ。

 「3年前にIT戦略を策定したときから、事業部ごとのデータをどのように統合しようか考え続けていました。技術は進歩し続けていますし、マルチソースでデータをつなげられるものが出てくるのではないかと思っていました」(田口氏)

 そして、複数の方法を検討していた同社が採用したのが、BIツールの「Domo」だった。Domoはさまざまなデータソースからデータを統合し、視覚化できるクラウドアプリケーションで、AWSやGCP(Google Cloud Platform)などのシステムから手軽にデータを接続できる点がニーズと合致したのだ。

 Domoを導入すると決めたのは、2017年5月下旬。その翌月には導入が完了したという。これまで週次だった営業のレポートは、日次で集計されるようになり、経営会議の資料も一部は自動で作成されるようになったという。

photo BIツール「Domo」の利用イメージ

 「各事業で個別最適がなされていても、横串でデータをつなげれば“ジョイントロス”が見えてきます。今はそれが見えてきていて、ボトルネックになっている原因が分かってきました。意思決定が早くなるメリットは大きいのです。例えば、家を建てるプロジェクトの期間が1日でも短くなれば、われわれは月に家を何百棟も建てているわけで、利益に与えるインパクトは相当なものになります。

 これだけならば、DomoはベーシックなBIにすぎませんが、今後は機械学習を活用することで、人間が気付けなかったようなソリューションを提案するような方向性で開発しています。数字を見たときに、次のアクションが起こせなければ、いくら数字を分析しても売り上げには貢献できません。KPIのチューニングやしきい値の学習、あとは非構造化データの処理もできればと考えています」(田口氏)

 Domoを使ってデータの入力や分析を行う人員はIT部門以外に、各事業部に最低1人は配置したという。数字に対して責任を持っている部署が分析をやる方が、効果が高いというのが田口氏の考えだ。IT部門はあくまで活用の仕方をサポートする立場にあり、日々事業部のメンバーとやりとりしているのだという。

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