日本マイクロソフトは、JRCSとの協業で、HoloLensを活用した海運・海洋産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)にも乗り出した。その詳細とDXにおけるHoloLensの可能性とは。
日本マイクロソフトが、Mixed Reality(MR)デバイス「Microsoft HoloLens」の活用について、船舶用配電機器や制御装置などの開発、生産、販売を行うJRCSと、新たに協業することを発表した。JRCSでは、「JRCS Digital Innovation LAB」を設置。船舶の自動航行までを見据えたプロジェクトを開始する。
HoloLensを活用したこれまでの協業では、飛行機の整備士やパイロットのトレーニングに活用する日本航空(JAL)の例や、建設現場の効率化などにHoloLensを活用する小柳建設の例がある。また、三菱ふそうトラック・バスも、車両の開発やメンテナンスにHoloLensを利用するといった取り組みを開始している。
今回のJRCSとの協業では、第1ステップとして、船員の訓練や資格証明などに関する国際条約であるSTCW条約に準拠したリモートトレーニングプラットフォームなどを開発。さらに、世界標準となるデジタル製品やサービスの開発を加速させる。
日本マイクロソフトの平野拓也社長は、「今回の協業によって、陸、海、空の全ての領域で、HoloLensが利用されることになる」とコメント。「地上の現場だけでなく、海上の現場でも利用されるようになるのが特徴」とした。
具体的には、第1フェーズとして、海洋事業者向け遠隔トレーニングソリューション「INFINITY Training」を開発。HoloLensやAIを活用して、船員や陸上で勤務する監督を含め、海運・海洋産業に関わる人材を教育する。
「これまでは下関のトレーニングセンターで船員向けの専門トレーニングを提供してきたが、海外顧客の参加が難しいなどの課題があった。HoloLensを活用することで、こうした課題を解決。さらに、『Microsoft Translator』の翻訳機能を活用することで、いつでも、どこでも、言語や時間、距離の壁を超えて、機器やシステムの操作トレーニングに参加できる」(JRCSの近藤高一郎社長)という。2019年3月からサービスの提供を始める予定だ。
また、第2フェーズとして、海洋事業者向け遠隔メンテナンスソリューション「INFINITY Assist」を開発。HoloLensを活用して、船員の負担やケガ、人的ミスを軽減するソリューションを提供する。
ここでは、エンジニアがメンテナンス作業をする際に、HoloLensを装着。メンテナンス対象となる機器上に、HoloLensを通じて作業手順などを表示し、短時間で安全に作業ができるようにする。船舶の特殊事情までを熟知したエンジニアのスキルを展開できるのがポイント。2019年中に、JRCS製高圧配電盤のメンテンスアプリケーションを商品化し、2020年から順次、コンテンツの拡大を図る計画だ。
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