長谷川: 脳波で思い出したけど、研究所ではウェルネス関係にも力を入れているとか。
森: そうですね。あとハードウェアとしては、ロボットとかドローン、デジタルサイネージあたりでしょうか。
ウェルネスでは、「キレイドナビ」という、ウェアラブルで日常的に体温情報をとって、それに基づいて体調や健康状況を予測するサービスがあるんですが、その裏側のデータ予測システムでは特許を取ったし、企業情報化協会から2015年のIT総合賞もいただいています。
長谷川: へええ、そんなこともされているんですね。すぐにいろんなサービスに使えそう。
森: 研究で生み出した技術で売上をとんでもなく上げたり、コスト削減に貢献したりと、いろいろな事業成果を達成してきましたが、ただ、研究そのものは案件ごとに毎回ゼロベースで再スタートしなければいけないので、全てをビジネスにつなげるとなると、難しいですよね。国内外ともに、ビジネスへとつなげて成功する割合は高くはないです。
とはいえ、研究者は増えてきたし、他の組織と連携してビジネスとして成り立たせていくのは、継続して実現させねばならない大きなミッション。かのアマゾンも、各国で立ち上げては撤退を繰り返していますし、われわれもひるまずにやっていこうと思っています。
長谷川: 他に中長期的なことでビジネスへの適用が実現しそうな研究テーマってありますか?
森: AIの進化スピードを見ていると、「パーマン」みたいなコピーロボットはけっこうリアルに実現できそうなんですよ。最初に自分と打ち合わせをしておいて、画像とか思考とかを植え付けたコピーロボットを会議に代わりに出席させて、あとでフィードバックさせるみたいな。もう世界中にコピーを派遣しまくり(笑)、なんてこともできそうですね。
長谷川: おおー、受付とかにはPepper君なんかも登場していますが、ビジネスのデシジョンもロボットにやらせるというわけですか。確かに、レベルによっては、ビジネスのデシジョンって意外に難しくないといわれていますし、簡単に実現できそうですね。
森: 相手もロボットで来たりしてね(笑)。
あとフィジカルを実現したロボットができれば、結納とか、儀式的なこととかにも使えそうですね。こういうことを語ると、すごくふざけた夢物語のように思われがちですが、技術的には近いうちにほぼ実現するのは確実なので。人の心のスイッチングコストがクリアにあれば、10年もあればコモディティ化しているんじゃないかと思います。
長谷川: 東急グループには、不動産やウェルネス、リテールもあるし、先ほどのレコメンドも、AIが関係することがたくさんあります。機会があれば、ぜひご一緒できるといいですね。
森: そうですね。まだまだ外部連携はこれから、という感じですが、少しずつ進めていければと考えています。ぜひ、よろしくお願いします。
長谷川: なんだかワクワクしてきました。今日はありがとうございました。
1994年、アクセンチュアに入社後、国内外の小売業の業務改革、コスト削減、マーケティング支援などに従事。2008年、東急ハンズに入社後、情報システム部門、物流部門、通販事業の責任者として改革を実施。デジタルマーケティング領域では、Twitter、Facebook、コレカモネットなどソーシャルメディアを推進。その後、オムニチャネル推進の責任者となり、東急ハンズアプリでは、次世代のお買い物体験への変革を推進している。2011年、同社、執行役員に昇進。2013年、ハンズラボを立ち上げ、代表取締役社長に就任。(東急ハンズの執行役員と兼任AWSの企業向けユーザー会(E-JAWS)のコミッティーメンバーでもある。
【取材・執筆:伊藤真美】
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