お高いソフトウェア保守に“価格破壊”の波 「第三者保守サービス」が企業にもたらすインパクトWeekly Memo(2/2 ページ)

» 2018年09月18日 11時00分 公開
[松岡功ITmedia]
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第三者ソフト保守サービスがベンダーロックインを払拭

 今回の会見で説明に立ったラビン氏および日本リミニストリートの脇阪順雄 日本支社長によると、Rimini Streetのサービスがユーザー企業に受け入れられる背景には、OracleやSAPなどのエンタープライズソフトの保守料が高すぎるとの不満が、ユーザー企業の間で高まっている状況があるという。それでも長らく状況が変わらなかったのは、市場に競争がないことからユーザー企業には選択肢がなく、ベンダーの言うがままに従わざるを得なかったからだとしている。ここでのキーワードは「選択肢」である。

Photo 日本リミニストリートの脇阪順雄 日本支社長

 この話に関連して、脇阪氏による次の説明が印象深かったので紹介しておこう。

 図2は、左側がOracle、右側がSAPの製品群を示したもので、両社とも製品とともに保守も自らユーザーへ提供する形を取っている。これはユーザーからすると“ベンダーロックイン”の状態になる。しかし、第三者保守サービスを使うと、それぞれのベンダーから利用したい製品だけをピックアップでき、ベンダーロックインではなく、ユーザー主体のIT環境を実現することが可能となる。

Photo 図2 ユーザー主体のエンタープライズソフトウェア環境(出典:日本リミニストリートの資料)

 そうしたユーザー主体のIT環境の実現に向け、脇阪氏は「第三者保守サービスによって、コストの最適化とともに、浮いたリソースによる攻めの投資、ベストソリューションを組み合わせたオーケストレーションを提供できるように尽力していきたい」と語った。この話は、ユーザー企業にとっては先ほどキーワードとして挙げた「選択肢」の一環でもあるが、ユーザー主体のIT環境を実現しようとする際に、第三者保守サービスを上手に使えれば、とのヒントになるのではないだろうか。その意味で、図2はシンプルだが示唆に富む内容だと考える。

 もう1つ、今回の会見で印象深かったのは、価格破壊による市場参入でソフトベンダーと敵対してきた同社はOracleなどとの訴訟問題も抱えているが、この点に対するラビン氏の自信に満ちた見解だ。

 「私たちはソフト保守分野におけるディスラプター(創造的な破壊者)。既存の仕組みとは戦うべくして生まれている。訴訟の動きの中でも健全な競争環境であるとの理解が進んでいると確信している。何よりも多くのお客さまに認められてきていることが、私たちの存在価値そのものだと考えている」

 第三者ソフト保守サービスをどう使うか。企業のIT部門にとっては選択肢の1つとして、有効なときにはぜひ上手に活用したいものである。一方で、このサービスによってユーザー主体のIT環境がどこまで広がるか、注目しておきたい。

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