企業に対してERPなどの業務ソフトを提供してきたSAPが、デジタル変革を支援するベンダーに変わりつつある。その核心は何か。SAPジャパンの福田譲社長に聞いてみた。
「SAPに勤めて21年になるが、ここ5年の変わりようはそれまでの16年よりも非常に大きい」――。こう語るのは、SAPジャパンの福田譲社長だ。SAPの最近のダイナミックな変化について、先週、筆者の取材に応じた際の第一声である。
SAPはここ5年、ERPなどの業務ソフトを中心とした形から、各種クラウドサービス、インメモリデータプラットフォーム「SAP HANA」、デジタル変革のためのツールセット「SAP Leonardo」などを展開し、最近では「インテリジェントエンタープライズ」という企業向けITの新たなビジョンを打ち出すなど、事業領域を広げてきている。
そんな動きも踏まえて、福田氏に変化のポイントを聞いてみると、ITが「ビジネスを支える」から「ビジネスを変える」、さらには「ビジネスと融合する」存在になってきた中で、「SAPには業務ソフトの提供だけでなく、ビジネスプロセスやビジネスモデルを変える手だてが求められるようになってきた」と答えた。その背景には、企業がデジタル変革に迫られていることがある。
では、そうしたユーザーニーズの変化に対し、SAPはどう応えているのか。筆者はここで前述のインテリジェントエンタープライズなどの説明があるのかと予想していたが、福田氏はそうしたITベースの話ではなく、企業の変革を支援するアプローチについて語り始めた。
「3つの“P”」――SAPは企業が変革を進めていくうえで、「People」「Process」「Place」の3つが重要なポイントだと説く。福田氏いわく、「つき合う人を変える」「やり方を変える」「場所や環境を変える」ということだ。この中でProcessの有効な手法としてSAPが積極的に実践しているのが「デザインシンキング(以下、デザイン思考)」である。
SAPはデザイン思考について、「実践的かつ創造的な課題解決の形式的手法であり、製品開発をはじめとして、さまざまな種類のビジネスにおいて活用できる。具体的には、人々のニーズを観察したうえで課題を設定し、アイデアを出し合うことで可能な限りの解決策を探り、そのアイデアを基にプロトタイプを作成し、実際にユーザーにおいてテストを行いながら試行錯誤を繰り返すことで、新たな製品やサービスを生み出し、課題解決につなげる」と説明している。
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