ユーザーとして、AIベンダーを探すにあたっては、「単に開発をお願いするだけではなく、その先のビジネスを見据えてくれるパートナーを選ぶべき」と石田氏。取り組みへの積極性や信頼関係も大切だと話す。
「AIやアプリ、デバイス開発などを複数の会社でバラバラに進めると、コミュニケーションコストやトラブルのリスクが増します。スピーディーな開発は総合力で実現するものだと痛感しました。
AI導入で最も難しいのは、課題の設定とデータの前処理です。この工程が全体の8割を占めるのですが、AI活用が目的化してしまうと、課題設定やデータ処理ができなくなってしまいます。本質的な目的を理解し、信頼関係を構築して、明るく前向きに、ともに開発に取り組んでくれるパートナーを選ぶことが重要だと考えています」(石田氏)
石田氏が講演を行ったセッションでは、富士通クラウドテクノロジーズの西尾氏も登壇して「ベンダー側の視点」を説明。「AIの価値を“品質向上”のみに置くと、ビジネスインパクトが見えず、AI導入が進みにくくなります」と語った。
同社では、AIの価値を「属人化の防止」「省力化」「品質向上」の3つだと考えている。その中でも特に下記の2つが、AI導入の価値や結果を数値化しやすく、プロジェクトも成功しやすくなるという。
ライオンの石田氏が触れたように、AI開発のキモは「データの前処理」にある。しかし、現実のAIプロジェクトにおいて、顧客側が集めたデータが実際のモデル開発にそのまま使えるケースは少ないそうだ。
「あくまで一例ですが、顧客が90万件のデータを提供してくれても、その中で使えたデータは20万件ほどということもありました。AIはコンピュータなんです。“ビッグデータを持っていれば使える”のではなく、“正しく欠損のない、キレイなビッグデータ”を持っているからAIで成果が出せるようになるのです。
だからこそ、AI導入にはお金も時間も必要です。最低でも6カ月、そして1000万円程度かかることもざらです。各種フレームワークを利用してビジネス的なリターンを試算し、課題の取捨選択を行うべきでしょう」
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