スピード感を求めれば「内製」しない理由がない ホテルおかだと京王電鉄が語る、デジタル変革のカギ【特集】Transborder 〜デジタル変革の旗手たち〜(2/5 ページ)

» 2019年03月29日 09時30分 公開
[池田憲弘ITmedia]

原さん: DXってビジネス的には“必然”という印象があります。できることが増えたのだから、それをやった方がやらない企業よりも絶対いいよね、という単純な話だと思うんですよ。だからあまりその言葉を気にしたことはなくて、何となく面白いと思うものを触ったり作ったりしていたら、「うちのビジネス変わってきたわ」という感じです。

虻川さん: やりたいことをどんどんやっていったら、もしかしたら本人にその気がなくても、第三者から「DXすごいね」みたいなことを言われるのかもしれないですね。

 ホテルおかださんではないと思いますが、DXをやること自体が目的になったらダメですよね。目指すところは「お客さまに喜んでもらえる」とか「収支が改善する」とか、本来やるべきことを見失ってはいけない。世間でよく聞く「何でもいいから、AIを使って何かやって」と言われるのと一緒で。

新しい技術を学び続ける難しさ

――先ほど「時間が足りない」というお話がありましたが、今は新しい技術を勉強したり、キャッチアップする負荷って高まっているんでしょうか?

虻川さん: 魅力的な新しいものが次々に出てくるので、確かに負荷は上がっているのかもしれません。とはいえ、勉強のしやすさは劇的に良くなりました。昔だと、高くて厚くて難しい本を読むというのが主な方法でしたけど、今は技術ブログなど、Web上に最新の情報が公開されています。少し古くなってしまった情報が多いですが、分かりやすい本があったり、eラーニングなども充実していて、動画で学ぶこともできます。文字だけだと分かりにくいことも、動画だと分かりやすいことが多いので、かなり学習効率は上がっているんじゃないでしょうか。

 ただ、情報量がとても多いので、学ぶべきものを取捨選択しながら、優先順位を決めてやっていかないとパンクしてしまうかもしれませんね。自分一人でやろうとしたら限界があるので、会社であれば仲間を増やして、分野ごとに分担するのがいいでしょうね。

原さん: 学習の負荷という話だと、開発環境を作るスピードが大きく変わりましたよね。昔だったらサーバ立てて、データベースをインストールしてミドルウェアも入れて、開発のプログラムを入れて……みたいな作業が必要でした。ちょっとおかしくなったら全部組み直しみたいな。今はそういうことはないわけで。

photo 原さんがこの3年くらいで学んだ技術。1年前くらいから急激に幅が広がっていることがよく分かる

虻川さん: クラウドを利用すれば、ハードを買う必要もないし、コストも少額なので、「ダメならすぐやめられるから、取りあえずやってみよう」って始められますよね。AIでもAWSの「SageMaker」みたいにマネージド型のサービスが出てきて、少し学習するだけで使いこなせるようなものが増えてきているのもうれしいですよね。今後は私がCIO(最高技術責任者)をやっている「感性AI」でも使えるところから使っていこうと思っています。

原さん: 昔みたいに1から10まで全部自分でやらなくても、Web上にあるソースを拾えばいい、みたいなことも結構あります。そこから始めれば開発も早いし。昔と全然違いますよ。

虻川さん: プログラムのコーディングの効率も変わりましたね。昔C言語でイチから作っていた頃は何だったんだろう、と思うことも時々あって(笑)。

原さん: すごく分かります(笑)。

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