スピード感を求めれば「内製」しない理由がない ホテルおかだと京王電鉄が語る、デジタル変革のカギ【特集】Transborder 〜デジタル変革の旗手たち〜(4/5 ページ)

» 2019年03月29日 09時30分 公開
[池田憲弘ITmedia]

――内製化はシステム部門と現場の距離が近づかないとうまくいかない面もあります。その点についてはどうでしょう?

虻川さん: オーダーすれば迅速に構築、改修してくれる自作システムという武器を持ったことで、システム部門も自信が付いて、積極的に打ち合わせに臨めるようになります。

 そして、小さくてもいいので成功事例が増えていくと、ユーザーの期待度も上がっていきます。システム部門も評価されてモチベーションが上がるし、自然と問い合わせも増えて、コミュニケーションが取れるようになる。そうすると、現場の課題も見えてくるのでより役に立てるという、良いスパイラルが回せるようになってどんどん距離が近くなっていくということだと思います。

原さん: 最初に武器を持たせたら、みんながすぐに突撃するかといったらそういうわけでもないですよね。きっと先陣を切ってくれる人がいるんじゃないですか。

虻川さん: 誰かが最初に旗を振るのは大事ですね。確かに武器を持ったからといっても、なかなか動き出せない人もいると思います。武器を持たせるときに何のための武器なのかを明確に伝えて教育し、ユーザーと対面で開発して、目の前で喜んでもらう体験ができれば、動き出してくれる人は多いと感じています。

原さん: 自分はマーケティングオートメーションに触れた時にそう感じましたね。「これは本当に武器なんだな」と。

内製化が進むと、SIerはどうなる?

――ユーザー企業によるシステム内製化が進むと、SIerの役割というのも変わっていくのかなと思います。お二方ともSIer出身ですが、SIerは今後どうなっていくと思いますか?

原さん: 最近、SIerの方に「すごくうらやましい」って言われるんですよ。業務に入りながら、ある程度自由に考えて、それをトライアンドエラーでどんどんできる環境じゃないですか。だから、すごく開発をやりたいと思っているSIerの人からしたら、多分こんな良い環境はないだろうということだと思うんですよね。

 SIerだと普通、リスクを取らないといけないところもあるので、カッチリとした仕様書も作るし、サポートも体制も必要なので、どうしても進みが遅くなるんですよ。とはいえ、開発者にしてみればそれは要らないんですよね。ベンチャーでどんどんやるところは別かもしれないですが。

 恐らくわれわれの方が、システムだけじゃなく「ビジネスを考えたシステム」を作っているので、スピード感も違うと思いますし、走りながら修正を加えていくので、ナレッジがたまるスピードもこっちの方が早い気がするんですよ。そこに技術が付いてくれば、この動きはどんどん加速していく。そういう部分が魅力的に映るのかもしれません。

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