スピード感を求めれば「内製」しない理由がない ホテルおかだと京王電鉄が語る、デジタル変革のカギ【特集】Transborder 〜デジタル変革の旗手たち〜(1/5 ページ)

ホテルと鉄道というアナログなインフラを扱う業界でデジタル化を進める2人を招いて行った「Transborder対談」。後編ではDXに対する印象や内製化について、そして今後SIerはどうなるのか、といったシビアな話へと展開していきます。

» 2019年03月29日 09時30分 公開
[池田憲弘ITmedia]

 箱根の温泉旅館「ホテルおかだ」と鉄道大手の「京王電鉄」。ホテルと鉄道というアナログなインフラを扱う業界に身を置きながら、デジタル化を進める2人を招いて、デジタル変革を進めるポイントを聞く対談。後編では「デジタルトランスフォーメーション」という言葉に対する印象や、2人が進める“内製化”、そしてSIerの未来について語ってもらいました。

ホテルおかだ 取締役営業部長 原洋平さんプロフィール

 エンジニアとしてNECなどさまざまな企業に勤めたのち、2009年に家業の「ホテルおかだ」に転職。エンジニア時代の経験を生かし、現場の仕事を楽にするツールを自作するうちにIT活用の可能性に気付く。2013年に取締役 営業部長に就任した後は、BI活用やWebページへのAI導入なども進める。

京王電鉄 IT管理部長 虻川勝彦さんプロフィール

 独立系のSIerから1995年に京王電鉄に転職。情報システム部、経営企画部などを渡り歩き、さまざまなシステム構築等を手掛ける。2012年から京王電鉄バス株式会社に出向し、kintone導入などITを活用した業務改革を推進した。2017年に京王電鉄に復職し、IT管理部長に就任。同年兼務で京王ITソリューションズ 取締役、京王パスポートクラブ 取締役にも就任する。2018年5月感性AIを設立、代表取締役社長に就任。

DXは「必然」の流れ、他社とのコラボレーションがその本質

――最近は「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉を聞く機会が増えていますが、お二人はこの言葉に対してどういった印象を持っていますか?

photo ホテルおかだ 取締役営業部長 原洋平さん

ホテルおかだ 原さん: 僕個人としてはあまり意識することはないですね。ITを使って何かを変えていくっていうのが、単純にすごく好きなんですよ。家に帰って寝ないでプログラムを組んで……っていうことを毎日繰り返していることもあります(笑)。

京王電鉄 虻川さん: すごく分かります。さまざまなシステムを連携しビジネスプロセスを最適化していく視点は以前から意識していたものですし。業務を変えていくという点では、私もkintoneを使い始めた時はモノを作るのがすごく楽しかったです。作ったもので、お客さまや社員などのユーザーが驚いたり、喜んだりしてくれるのがすごくうれしかった。実際、ユーザーからダメ出しをされて、瞬時に解決するのもまた楽しい(笑)。

原さん: 僕はここ1、2年くらいが特に楽しいんですよ。クラウドがすごく使いやすくなったからだと思うんです。いろいろなツールを組み合わせて、「こんなの見えちゃった」みたいな瞬間がすごくあって、しかもそれがビジネスに生かせる。だから今はもう止まらないですよね。

虻川さん: 時間が足りなくてしょうがないですね。

原さん: これがまた、たくさんの人に使ってもらいたいという欲求になってくるんですよね。

photo 京王電鉄 IT管理部長 虻川勝彦さん

虻川さん: 今は「DX」という言葉を使うと、セミナーも簡単に人を集められそうですよね。単にデジタル化するという話だったら、昔からやっていた話だと思いますが、クラウドやいろいろなサービスが迅速に使えるようになって、スピード感が大きく変わった。AIやIoTで変革を起こせる範囲も大きく広がり、その内容も変化してきました。

 一番大きく変わったのは、システムへのAPI実装が当たり前になって、今まででは想定していなかった会社やサービスと、リアルタイムにコラボレーションができるようになったことだと思います。そのおかげで、提供できるサービスも大きく変わってきましたよね。

 企業の業務システムにおいても、DXという言葉が流行ったことに感謝してます。経済産業省のDXレポート「2025年の崖」でも触れられている通り、悪い意味で“塩漬け”になっているレガシーシステムも同じように改善していく、良いきっかけにしていきたいです。

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