Googleが“激戦”クラウド業界に投じた切り札 「Anthos」とは何かGoogle Cloud Next '19 Tokyo(2/3 ページ)

» 2019年08月07日 07時00分 公開
[谷川耕一ITmedia]

アプリのモダナイゼーション(近代化)を支援 「Migrate for Anthos」とは何か

 旧来のシステムで使っていたアプリケーションを最新の環境でそのまま使えるよう“モダナイズ(近代化)”するには、通常は既存アプリケーションをクラウドに移し、その上でコンテナ化する方法が使われる。

 だがAnthosを使えば、アプリケーションをオンプレミス環境に置いたままで同じニーズをかなえ、クラウド環境を十分に整えてからアプリを移行できる。もちろん最初からAnthosでアプリをクラウド化することも可能だ。どの場合も、既存のアプリケーションに変更を加える必要はない。その上で「Anthosを使うことで、セキュリティと信頼性についてはコンテナ環境で最高のものを手に入れられます」とヘルツル氏は話す。

 Googleが発表した“既存アプリケーションの近代化ツール”が、「Migrate for Anthos」だ。同製品は、VMwareなどが提供する仮想マシンで動くアプリケーションを自動変換し、Kubernetes化できる。

NTTコミュニケーションズ 第五営業本部長の工藤晶子氏

 基調講演後の記者会見で、ヘルツル氏は、「Migrate for Anthosは、クラウドに移行するためのツールではなく、アプリケーションを近代化するツールだ。そのため、Google Cloudのユーザーでなくても、Anthosには関心を寄せている」と語った。

 Anthosの利用は、日本でも既に始まっている。巨樹の会、東京巨樹の会、ビーグル、NTTコミュニケーションズ、ウルシステムズの5社は、プライベートクラウド上で臨床データをセキュアに分析する体制をAnthosで構築し、実証実験を開始した。

 NTTコミュニケーションズ 第五営業本部長の工藤晶子氏は、「Anthosを活用し、NTTコミュニケーションズのインフラを使うことで、ハイブリッドでセキュアなクラウド環境が提供できる。オンプレミスでシステムを運用している企業はまだたくさんあり、Anthosについてはそれらの顧客から多くの引き合いがある」と話す。

近日中に日本でもリリース 「Cloud SQL for Microsoft SQL Server」と「Managed Service for Microsoft Active Directory」

 その他に、今回のイベントで「近日中に日本でも提供を開始する」とアナウンスされたのが「Cloud SQL for Microsoft SQL Server」と「Managed Service for Microsoft Active Directory」だ。

 顧客のもとにはWindowsのワークロードが数多くあり、クラウドへの移行が求められている。その際、Windowsアプリケーションと同時に、その後ろで動く「Microsoft SQL Server」もスムーズにクラウドへ移行したい――そうしたニーズに対応する製品が、マネージドサービスのCloud SQL for Microsoft SQL Serverだ。Google Cloud Platformで動くリレーショナルデータベースの運用や管理をサポートするフルマネージドサービス「Cloud SQL」の、Microsoft SQL Server専用バージョンといえる。

 Cloud SQLは、SQL Server以外にも、オープンソースデータベースである「MySQL」「PostgreSQL」にも対応する。例えば、既存のデータベースをオンプレミス環境でバックアップし、それをクラウドでリストアし、接続設定を変えれば、すぐに使えるようになる。Managed Service for Microsoft Active Directoryで、オンプレミスのID情報を継承すれば、Google Cloudで認証も可能だ。

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