データ分析に取り組む企業が、必ずと言っていいほどつまづく「人材」の問題。ビジネスの現場でデータを扱う人材をどう育てればいいのか。その方法を、大阪ガスとホテルおかだの事例から見てみよう。
ビジネスの前線にいる社員それぞれがデータを分析し、利益や顧客満足度につながる新たな“知見”を得る。「セルフサービスBI」の登場で、企業におけるデータ分析の主役は変わってきた。現場がスピード感を持ち、挑戦と検証を繰り返す――そんな取り組みが競争力につながるといわれて久しい。
その一方で、データ分析に取り組む企業が、必ずと言っていいほどつまづくポイントがある。それは「人材」の問題だ。アイティメディアが行った読者調査でも、半数以上の企業が、データ分析への課題として、「プロジェクトに必要なスキルを持った人材の確保が難しい」「専任のスタッフが置けない」と答えている。
しかし、その答えもまた「セルフサービスBI」にあるといえる。成功企業は、その「使い方」や「広め方」を工夫することで、データ分析人材を生み出している。ITmedia エンタープライズ編集部は、2017年9月にセルフサービスBIをテーマにしたセミナーを開催。実際にセルフサービスBIを活用する大阪ガスとホテルおかだの事例、そして、データ活用を支えるソリューションが紹介された。
セミナーの基調講演では、大阪ガスで社内向けにBIツール活用を促す「BIエヴァンジェリスト」として活躍している高木大輝氏が登壇。同社は近畿2府4県をカバーする都市ガスを軸に、幅広く事業展開しており、高木氏は家庭用燃料電池の運転データ分析やスマートメータデータ分析、顧客ターゲティング分析などを担当している。
今でこそ「BIエヴァンジェリスト」として活躍している高木氏だが、入社時には、「Excelすらまともに使えなかった」というから驚きだ。彼はいかにして2年でデータ分析の専門家になったのだろうか。
「私がデータ分析専門家にまで進化するには、大きく分けて2つの壁を乗り越えたと思います。第1の壁は、分析力として『記述統計』や『多変量解析』といった統計の基礎を学び、Excelのセル関数とグラフを使いこなせるようになること。
第2の壁は、扱うデータの量が増えることで、どうしてもプログラミングが必要だと痛感したことです。ツールの力は偉大で、関数の記述だけで簡単に結果が出るため、安心して理論を理解しようという気持ちが生まれました。機械学習を学び、VBAやR言語を使いこなせるようになったあと、最後に分析を効率化するツールとしてセルフサービスBIを使い始めました。僕の例はやや特殊で、一般的には、Excelの先にBIツールを学べばよいと思っています」(高木氏)
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