Googleが“激戦”クラウド業界に投じた切り札 「Anthos」とは何かGoogle Cloud Next '19 Tokyo(1/3 ページ)

AWSやAzure、IBM Cloudなどの競合がひしめくクラウド業界に、Googleが新たな一石を投じている。それまでの自社製品一択の戦略からマルチクラウド戦略への転換を支える新製品の流れを追った。

» 2019年08月07日 07時00分 公開
[谷川耕一ITmedia]

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 2019年7月31日から8月1日の2日間、都内でGoogle Cloudの年次カンファレンスイベント「Google Cloud Next '19 Tokyo」が開催された。そのテーマは「かつてないクラウドを体験しよう」だ。

 Google Cloudは、グローバルなクラウドサービスとしては「Amazon Web Services(AWS)」「Microsoft Azure」に次ぐポジションにある。日本でもここ最近関心が高まっており、今回のイベントには1万9000人を超える登録があった。実際、当日の会場はかなり混雑し、参加者からの高い関心が伺えた。

「G Suite」から始まった、日本でのB2Bクラウド戦略

 Google Cloudの業績は順調だ。直近の2019年第2四半期の事業成績から、同社は年間の売り上げを80億ドルと推定している。

 Google Cloud Next '19 Tokyoの基調講演に登場したGoogle Cloud テクニカル インフラストラクチャ部門 シニア バイス プレジデントのウルス・ヘルツル氏は、「ビジネスの成長度合いはさらに向上している」と語った。信頼性と安全性を兼ね備えた環境や、データ活用や機械学習などの機能を望む顧客にGoogle Cloudは選ばれているという。

Google Cloud Next '19 Tokyoの基調講演に登壇した、Google Cloud テクニカル インフラストラクチャ部門 シニア バイス プレジデントのウルス・ヘルツル氏

 Google Cloudは、まずは「G Suite」で日本市場の認知と評価を得た。一方、「Google App Engine」といったプラットフォームのサービスは、AWSやAzureに後れを取っている。この状況を打開すべく、同社は日本市場への投資を加速している。既に国内クラウドデータセンターとなる「東京リージョン」を開設した他、2019年5月には日本で2つ目、世界では20番目となる「大阪リージョン」を追加した。

 同社はネットワーク・インフラにも投資しており、2020年初頭には3本目となる海底ケーブルを日本に接続する。ヘルツル氏はこの取り組みについて、「アジア太平洋地域で、最も堅固かつ先端的なクラウドネットワークが誕生する」と話す。

 Google Cloudが示したもう1つの重要な変化がある。それが、自社パブリッククラウドだけを利用してもらう従来の戦略から、ハイブリッドクラウド、マルチクラウド戦略へと大きく舵を切った“戦略転換”だ。

「マルチクラウドで動くOS」Anthosの強み

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