不正アクセス防止へ 量子コンピュータでも破れないデータ秘匿技術が登場スポーツ選手の電子カルテ管理にも活用へ

NICTとNECは、顔認証などの生体認証データを「量子暗号」技術と「(k,n)閾値秘密分散」技術で伝送・保管する高秘匿・高可用なシステムを共同で開発。既に技術検証を完了し、ナショナルチームのスポーツ選手用電子カルテなどの管理で試験利用を開始した。

» 2019年10月30日 11時00分 公開
[金澤雅子ITmedia]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)とNECは、顔認証などの生体認証システムで得る生体認証データを「量子暗号」を用いた高秘匿技術で伝送し、生体認証時の参照データを「(k,n)閾値秘密分散」(以下、秘密分散)を用いて保管するシステムを共同開発し、実証に成功したと発表した。

 量子暗号は、量子鍵配送(QKD)装置から供給された暗号鍵を種鍵(たねかぎ)として使用する共通鍵暗号(ワンタイムパッドまたはAES)方式を用いたデータ伝送技術で、データレイヤー上の重要通信を直接、高速暗号化(100Mbps〜1Gbps)する統合型暗号化システムに用いられる。

 また、(k,n)閾値秘密分散は、秘密情報をn個の分散情報に分けて管理する秘密分散法。この方法では、最初に秘密情報S(整数)の保有者がSからn個のシェアと呼ばれる値を生成し、次に秘密保有者はシェア保有者(1〜n)に各シェアを秘密裏に渡す。その後、秘密保有者は元の秘密情報を消去する。秘密情報の復元には、k人のシェア保有者が協力してk(閾値)個のシェアを収集し、所定の計算をする。

量子暗号による高秘匿技術と秘密分散で生体認証データを保護

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ