この後の3つは、MicrosoftとDXを共創して進めているユーザー企業からゲストスピーカーとして登壇した東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)副会長の小縣方樹氏、トヨタ自動車 情報システム本部本部長 兼 TPS本部販売・事技領域領域長の北明健一氏、ソニーグローバルソリューションズ社長の樋田 真氏の発言である。
JR東日本の小縣氏の発言である。この前に「当社のDX推進は、1970万人のお客さまと膨大な交通インフラ設備をさまざまなサービスでつなぐところがキモだ。さらに当社の経営の最重要課題は、ひとえに安全確保にある」との大前提の話があった。MaaS(Mobility as a Service)にも本格的に取り組んでいる同社が、DXで「人の生活を豊かにする」ことに目を向けているのが興味深いところだ。
トヨタ自動車の北明氏の発言である。同社のDXの取り組みは、無駄を徹底的に排除した「TPS(トヨタ生産方式)」を発端として、最近ではMaaSにも注力している。そうした中、同氏が言う変えるべきこととは、新しいテクノロジーをいち早くキャッチアップして使えるものは積極的に取り込んでいくという意味だ。一方、変えてはいけないこととは物事の本質を見極めるための哲学や思想にある。「DXを推進する上でも、そのベースにある哲学や思想があってこそ、それが強みや個性になると私は確信している」(北明氏)との力説が印象的だった。
ソニーグローバルソリューションズの樋田氏が基調講演後、Microsoftの沼本氏と共に臨んだ記者会見で経営から見たDXについて聞いた筆者の質問に答えたものである。同社ではDXに本格的に取り組む際、経営幹部によるデジタル戦略のための会議が設けられ、その会議でDXに関する意思決定が速やかにされるようになった。それによって経営層にDXが経営課題であるという共通認識が浸透したという。
こうしてみると、ゲストスピーカーの発言も合わせて今回のイベントでMicrosoftおよび日本マイクロソフトがビジネスリーダーに訴えた重要なポイントは、上記の7つの発言に集約されているのではないか。記事にまとめてみて、あらためてそう感じた。
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