日本マイクロソフトがビジネスリーダー向けにDXをテーマにしたイベントを開いた。テクノロジーベンダーの同社が、ビジネスリーダーに果たして何を訴えたのか。
日本マイクロソフトが2019年12月5日、ビジネスリーダーを対象にしたグローバルイベント「Microsoft Envision|The Tour 東京」を都内ホテルで開催した。「デジタルトランスフォーメーション(DX)」をテーマに、この10月から世界7都市で順次開催している。
テクノロジーベンダーのMicrosoftが、ビジネスリーダーに果たして何を訴えたのか。そこで本稿では、基調講演の登壇者による印象的な発言を以下に7つ取り上げて考察してみたい。
このイベントの主催者として最初に登壇した日本マイクロソフトの吉田仁志社長の発言である。こうした表現で日本法人を含めたグローバルのMicrosoftでもDXに取り組んでいる真っ直中であることを強調した。同時に「お客さまに対して“売る”から“お役に立つ”へ」と変わることが、DXの本質であるとも語りかけた印象的な言葉だった。
これも吉田氏の発言。同氏は図1を示しながら、「当社はお客さまに寄り添ってDXのお手伝いをさせていただく」と繰り返し訴えていた。「寄り添う」という言葉は、DXのキーワードである「共創」にも通じる。この10月に同社社長に就任した吉田氏が、新たに掲げたスローガンではないかというのが筆者の見立てだ。
このイベントのメインスピーカーでゲストを迎えるホスト役も務めたMicrosoftコーポレートバイスプレジデント クラウドビジネス担当の沼本 健氏の発言だ。同氏は自らの実感に加え、複数の市場調査結果を基に「約9割の経営者はDXをイノベーションと効率化の手段と捉えている」「約7割の企業がDXで収益向上」「6割を超える企業がDXを4年以内に実現できなければ淘汰(とうた)される」といった見方を踏まえて、「待ったなし」と表現した。
これも沼本氏の発言。同氏は、企業がDXを成功させるために重要な取り組みとして次の4つを挙げた。第1が「ビジョンと戦略の策定」、第2が「文化の醸成」、第3が「ユニークな可能性」。企業としての強みや個性を引き出すことだ。そして第4が「能力」。テクノロジーはここに含まれる。「つまり、テクノロジーより大事なことが3つある。これは、これまで自社およびお客さまのDXの取り組みをご支援してきた私の実感だ」と同氏は語った。Microsoftのビジネスリーダーへのメッセージを特に感じた発言だった。
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