新たなビジネスアーキテクチャを策定するも、80%の企業はテクノロジー人材不足で「何もできない」――ガートナー予測

ガートナーは、国内の「テクノロジー人材」に関する2020〜2025年の展望を予測。今後のテクノロジー人材には「スキル」「マインドセット」「スタイル(芸風)」の3要素の強化が重要なポイントになるとしている。スキル人材が不足すると、新たなビジネスアーキテクチャを策定しても、企業の80%は「何もできない」まま終わるという。

» 2020年04月02日 14時00分 公開
[金澤雅子ITmedia]

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 ガートナー ジャパンは2020年4月1日、日本国内の「テクノロジー人材」に関する2020〜2025年の展望を発表した。

 2020年から3〜5年後にかけて予測されるテクノロジー人材をめぐる注目すべき動向を6つにまとめている。

1. 2023年までに、日本企業の60%は、テクノロジー人材に関する新たなマインドセットの獲得に苦慮する

 デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現には、企業における根本的な構造変革が求められ、そこではITが中核となることから、本来ならこれまで以上にIT部門への期待が高まるはずだが、実際には、IT部門を構造変革のような大きなテーマをリードするポジションにあると評価する企業はほとんど存在しないという。

 ガートナーによると、同社が提唱する「バイモーダル(※)」という企業ITの在り方や、バイモーダルの両極を構成する「モード1」と「モード2」に該当するITの違いについて理解している企業のIT部門は少なくない。ただし、それに対応するための「人材の変革」については、まだ緒に就いたばかりといった状態の企業が多く見られる。

※バイモーダルとは、企業ITを「モード1」と「モード2」の2タイプに分類し、両モードを共存、連係させた運用を推奨する考え方。モード1は「業務システムの維持とコスト削減の要件に応え、しっかり作って確実な運用を目指す」IT、モード2は「ビジネスの成長と革新の要件に応え、変化対応型のアプローチを取る」ITと定義している。この2分類は、いわゆる「攻めのITと守りのIT」や「SoR(System of Record)とSoE(System of Engagement)」などに相当する。

 企業は今後、特にモード2に人材面で対応していく必要があり、そのためには、テクノロジー人材について「スキル」「マインドセット」「スタイル(芸風)」の3要素の強化が重要なポイントになる。スキルの強化だけに目を向けるのでなく、併せて「マインドセットの転換」や「スタイルチェンジ」も重要になる。

 特にマインドセットついては、具体的にどのようにマインドセットの強化や転換を図るかに苦慮する企業も多いのが現状で、ガートナーの見立てでは、その割合は2023年までに日本企業の60%に上る。

 マインドセットは、1回話を聞いたりしただけで変わるものではなく、中長期にわたって改善を図り、獲得していくものであるため、企業、組織、個人が、新たなマインドセットの獲得を、一過性のことではなく、継続的なイニシアチブとして推進する必要があるとしている。

2. 2023年までに、新たなビジネスアーキテクチャを策定しても、企業の80%はリーダーシップやスキル人材の不足で「何もできない」

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