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» 2020年06月24日 10時00分 公開

PoCで疲れている場合ではない:ITベンダー丸投げ=経営戦略の丸投げ、「ITが苦手な経営者」の率いる企業が市場から消える日 (1/2)

DXとは本来、デジタルテクノロジーによってビジネスそのものを大きく変革する取り組みのことを指す。華やかな成果の事例が目立つ一方で、コスト削減や業務効率化だけで「DXを実現した」と述べたり、ビジネス成果につながらないPoCを繰り返して「PoC疲れ」を起こしたりしている組織も存在する。各社の違いはどこにあり、今後何が変わっていくのか。

[吉村哲樹,ITmedia]

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 「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉がビジネスシーンにおいて重視されるようになって既に久しいが、解釈や実際の取り組み内容は各社各様である。華やかな成果を挙げた事例が出る一方で、AI(人工知能)やRPA(Robotic Process Automation)といったはやりのデジタルテクノロジーを導入してコスト削減や業務効率化などを達成することで「DXを実現した」ととらえたり、それらのPoC(Proof of Concept:概念実証)ばかりを繰り返してビジネス成果を得られず、いわゆる「PoC疲れ」を起こしてたりしている企業も少なくない。

 DXを単なるコスト削減の手段のように矮小(わいしょう)化してとらえてしまうと、デジタルによるビジネス変革を成功させることは難しい。にもかかわらず、誤った認識が後を絶たない理由は、一体どこにあるのか。

ITの丸投げは経営戦略の丸投げにも等しい

 「私たちの生活は今や、テクノロジー抜きでは語れません。日常生活の多くはインターネットやスマートフォンをはじめとするデジタルプラットフォームの上にあり、テクノロジーは単なる便利ツールではなくなっています。人間の行動様式や思考様式、コミュニケーションにまでテクノロジーが溶け込みつつあります。一方で、ビジネスの世界では『テクノロジーはあくまでも効率化の手段』『既存業務に後から取り入れるもの』と認識している経営者の方も存在し、これがユーザーの期待とビジネスの不一致を引き起こす原因になっています」

山根氏 アクセンチュアの山根圭輔氏

 こう指摘するのは、アクセンチュア テクノロジーコンサルティング本部 インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービスグループ日本統括マネジング・ディレクターの山根圭輔氏である。同氏は、企業がDXの本質を理解してその実践へと歩を進めるためには「まずは『デジタル技術は適宜ビジネスに取り入れるもの』という発想から脱却し、全てのビジネスをテクノロジー思考で考える『真のテクノロジー企業』を目指さなくてはなりません」と説く。

 そのために不可欠なのが、サイエンスやテクノロジーの価値をきちんと理解して、それを基に企業のビジョンや戦略を立てられる「テクノロジーCEO」の存在だという。

 「将来が見通しづらい時代において、企業はただ長期計画を実行するだけでは競争に勝てません。環境の変化に柔軟かつ迅速に対応できる組織を作る必要があり、そのための土台となるシステムにも高い柔軟性や機動性が求められます。こうしたテクノロジーの方針を考えることこそ、テクノロジーCEOの最大のミッションです」(山根氏)

 しかし日本企業の中には、この核となるテクノロジー戦略を丸ごとベンダーに任せきりにして、自社の事業戦略に組み込めていない組織もあるという。山根氏は「テクノロジーの土台に対するコントロール権を手放すということは、自社の経営戦略そのものを丸投げしていることに等しい」と指摘する。

強力なトップダウンによる改革の成功例は「世界でも多くない」

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