ANAが「リアルなサンドボックス」から発信する、5Gのオープンイノベーションベンダーロックインさせないためのインフラ整備とは(1/2 ページ)

ANAは、羽田空港を再現する訓練施設として設置した拠点「ANA Blue Base」にローカル5Gのインフラを敷いた。同社の構想する「ハニカム構造のイノベーション」を支える、IT部門の取り組みを追った。

» 2020年07月15日 07時00分 公開
[柴佑佳ITmedia]

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 全日本空輸(以下ANA)は、羽田空港にほど近い京浜急行の穴守稲荷駅に、同社の総合訓練施設「ANA Blue Base」(以下、ABB)を設置した。敷地面積およそ3万2800平方メートル、建物面積およそ6万500平方メートル、地上8階建てという大規模な訓練施設は今後、ANAの企業ブランドを発信する中心拠点になるという。

 ANAはNECの支援のもと、ABBにローカル5Gを導入して共創活動を開始すると発表している。ANAはABBを「安全の象徴」「企業ブランドの発信拠点」「オープンイノベーションの場」として活用していくという。

「何でもできる環境」の土台とは

 ANAのデジタル変革室でイノベーション推進部の部長を務める野村泰一氏は、ABBの目指す姿を「何でもできる、オープンイノベーションの場」と呼ぶ。

 ABBは、これまで羽田空港周辺に点在していた訓練拠点を統合する施設である。ANAが提供するサービスの開発を集約する拠点として、近日中に稼働を始める予定だ。

 インバウンド需要への対応や災害対策、テロ対策、感染症対策など、国際空港を取り巻く情勢は複雑化し、それに対応できる人員の教育は重要な課題になっている。訓練施設の統合によって、複数の部署をまたぐ大規模なシミュレーションや総合的なトレーニングが可能になるという。

 野村氏によれば、ABBの中で5Gは全ての訓練をつなぐインフラとして機能する。「高速・大容量」「高信頼・低遅延」「大量端末の同時接続」の共有インフラが、ANAの「何でもできる」を支えている。

「何でもできる」を支える環境 「何でもできる」を支える環境とは(提供:ANA)

 「5Gは現時点での実例は少ないが、いずれ必ず利用するもの。必要になったときに、プロジェクトや部門ごとでバラバラに検討すると5G導入の予算取りから始めることになる」(野村氏)

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