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» 2020年03月13日 07時00分 公開

ITmediaエンタープライズ セキュリティセミナーレポート:システム統合は「やめる努力」から――日清食品グループが泥臭く取り組むセキュリティ強化策 (1/2)

日清食品ホールディングスのCIOが語る、古い体質だったIT部門を脱却し、セキュリティ強化の観点からシステムや人材、組織を変えていった。その方法とは。

[指田昌夫,ITmedia]

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パスワードは必要なくなる? デジタルの変化に取り残されない

 2019年12月3日に開催された「ITmedia エンタープライズセキュリティセミナー」の東京会場で、日清食品ホールディングス 執行役員CIO(最高情報責任者)の喜多羅 滋夫氏が「武闘派CIOが語る 変化の時代のセキュリティ人材戦略」と題して講演した。講演では、大手食品企業のIT部門責任者としてセキュリティ強化の観点から、システムを変え、人材を変え、組織を変えていくプロセスを説明した。

日清食品ホールディングス 執行役員CIOの喜多羅 滋夫氏

 喜多羅氏は外資系企業で情報システム部門を歴任し、2013年に日清食品ホールディングに入社。CIOとしてグループ企業も含めた情報システムとセキュリティ管理を統括している。企業内でIT部門がすべきこととして喜多羅氏は、何よりも先に「基本」を押さえることが大事と語る。

 「レガシーシステムの洗い出しやサポート切れなどを把握する。昨今重要度を増しているのは法的要件への対応だ。例えば社員が数日欧州に出張しただけでも、GDPRの要件に絡むことがある」(喜多羅氏)

 同時に喜多羅氏が重視するのは、ビジネスリスクを経営に分かる言葉にかみ砕くことだ。ITの専門知識がない経営者にセキュリティリスクを事細かく説明しても通じない。

 その一方でITやセキュリティ部門の担当者自身も自ら勉強し、部下を教育しなければいけないと語る。

 「もしあなたがマネジャーだとして、社長がテクノロジーを全く理解していなかったらどう思うだろうか。それと同じことを現場の社員がマネジャーであるあなたに対して思ってしまう」(喜多羅氏)

 技術知識だけでなく、最先端のデジタル体験によって世の中で何が起きているのか知っておくことも重要だ。

 「例えば、中国の都市部のスーパーでは生鮮食料品の管理を徹底して、その日の朝にパックした野菜しか置いていないところもある。日本が一番だという考えは、既に時代に取り残されていることを認識しなければいけない」(喜多羅氏)

 また企業を取り巻くITの変化、とりわけコンシューマー向けサービスの技術がどんどん企業向けにも使われていることに目を向けなければいけないと喜多羅氏は語る。実際、今後入社してくる若い社員は「議事録」「日報」「パスワード」などの必要性を全く理解できない可能性がある。新しいシステムは既存のビジネスプロセスをゼロベースで見直して考える必要がある。

システム統合は「やめる努力」から

 「CIO就任当時、当社のIT部門は『古い体質』だった」と喜多羅氏は話す。担当者は一人平均6つのシステムを担当しており、自分が受け持っているシステムに対する知識は豊富だが、他のメンバーと情報が共有できていなかった。問い合わせ対応も属人的で、保守期限もバラバラなため、担当者は有給休暇の取得もままならない状況だった。

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