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» 2020年09月28日 07時00分 公開

パーソナルデータは「不正引き出し」できるのか:「もうひとりの私」を預ける 情報銀行が守るパーソナルデータとは (1/3)

コロナ禍にビジネスのオンライン対応が急務となるなか、企業にとって個人情報の保護と活用はいっそう重要度を増している。その中で2020年8月、ITmediaエンタープライズ主催のWebセミナー「データガバナンスが切り開く企業の未来」が開催された。基調講演では、NTTデータ金融事業推進部デジタル戦略推進部 部長の花谷昌弘氏が「ビジネス資産としてのパーソナルデータ〜個人情報保護法の改正と新型コロナウィルス対応〜」と題して講演した。

[指田昌夫,ITmedia]

 「自分の情報を、なぜ自分で管理できないのか?」

 NTTデータ金融事業推進部デジタル戦略推進部 部長の花谷昌弘氏がパーソナルデータの現状に疑問を感じたのは、自身の医療データ入手にお金を払った時だった。医療データはセンシティブなパーソナルデータだ。それを複数の医療機関で共有する際、最初に治療を受けた病院から有償で購入する必要があったという。同氏の問いは「私の医療情報を入手するのに、どうして私がお金を払うのか?」という、至ってシンプルなものだ。

 パーソナルデータには、名前や住所といったそれのみで個人を特定できるものと、複数の情報を組み合わせて個人の特定が可能になる情報がある。いずれも個人情報保護法やGDPR(EU一般データ保護規則)などによって取り扱いは規制され、違反すると厳しい罰則が科せられる。

 一方で、いわゆる「GAFA」を中心としたデジタル企業の多くは、データを活用してビジネスを拡大している。そこで日本は個人情報保護法を改正し、「パーソナルデータを守りつつもビジネスに利用できる形態で流通させ、データの持ち主が利益を得られるようにする」という新しい仕組みの構築を急いでいる。その中核を担うのが「情報銀行」だ。

パーソナルデータの流通と「情報銀行」の役割

NTTデータ 花谷昌弘氏

 花谷氏は、パーソナルデータの流通や活用に関する現状の課題として「データの分散」を挙げた。

 「顧客の消費行動はデータ化され、流通や小売企業などのデータベースに蓄積されている。しかし1つの企業では顧客の行動を全て追跡できず、収集できる範囲内のわずかな情報を基にしてマーケティングを行っている。足りない部分はCookieやDMP(Data Management Platform)の第三者情報で補うことになるが、そうして作られた顧客像は実際のユーザーとはかけ離れている」(同氏)

 その結果として発生するのが「いらない情報」のゴリ押しだ。例えば、父親が子供のクリスマスプレゼントのおもちゃをネットショップで購入すると、その後しばらくは、あらゆるWebサイトで似たおもちゃに関する広告が出てくる。これはユーザーにとって「もう必要ない情報」を見せられている状態になる。

 企業に必要なのは「このユーザーは子供のためにおもちゃを購入した、従っておもちゃの情報はこの先不要である」という情報だ。この情報を、消費者から直接提供してもらう取り組み「Shared CRM」が始まってる。

「Shared CRM」を含むパーソナルデータの流通/活用スキーム(出典:NTTデータ)
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