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» 2020年11月12日 10時00分 公開

MaaS基盤としてのAWSをどう活用? 採用企業が語ったサービスのこれから

MaaSサービスの開発に向けた動きが活発だ。電車やバス、タクシーがAPIを公開したら暮らしはどう変わるか。コロナ禍を経てMaaSへの国内のニーズはどう変わったかを、国内MaaSサービスで先行する4社が語った。

[土肥正弘,ITmedia]

 コネクテッドカーやIoT、高精度位置情報や地図情報など最新技術が続々と登場する中、それらを利用して人やモノの移動に付加価値を加えるMaaS(Mobility as a Service)への注目度は高まっている。しかし、日本でのMaaSによるビジネス成功ケースはまだ少なく、さまざまな企業がビジネスモデルを試行錯誤しながら模索する段階にある。その中にあってMaaSアプリとバックエンドシステムを開発して新サービスで成果を出しつつある企業もある。MaaSで先行する企業各社がサービス基盤として採用するのがAWSなどのクラウド基盤だ。

スケーラビリティとスピードが必要なMaaSビジネスの基盤に求められるものは

AWSジャパン 岡嵜 禎氏

 2020年10月20日から開催されたオンライン展示会「CEATEC 2020」のカンファレンスではAWSジャパンの岡嵜 禎技術統括本部長がモデレータとなり、小田急電鉄、ヴァル研究所、ドコモ・バイクシェア、ナビタイムジャパンのキーパーソン4人によるパネルディスカッションが配信された。本講はその内容から国内MaaSサービスの進展を見ていく。

 岡嵜氏はMaaSビジネスモデルについて、「エマージングビジネス」すなわちこれから急速に拡大していくビジネス領域だと説明する。この領域ではIoT、ビッグデータ、機械学習、スマートデバイスを活用した新しいユーザー体験といった最新技術が必須となる。MaaSビジネスの基盤は柔軟な拡張性と最新技術の迅速なデプロイが可能なクラウドが適する。

 MaaSビジネスのもう一つの特徴は「スピーディーな異業種連携」だ。岡嵜氏は「公共交通、シェアリングサービスなどの多様な移動サービスの連携がMaaS実現の前提となる。観光や商業の付加価値サービスには不動産デベロッパー、商業施設、自治体などさまざまな企業、団体の連携が必要だ」と説く。企業、団体の情報システム間や各種情報サービスとのデータ連携、API連携に強いのもクラウドのメリットだ。

 クラウドサービス各社のMaaSソリューション提供はまさにいま本格化しつつある。モビリティに限らず、IoTの文脈で利用されてきた技術も組み合わせた構成が提案されている。AWSの場合は「AWS IoT Greengrass」や「AWS IoT Core」といったエッジの機能と、ストレージサービス「Amazon S3(Simple Storage Service)」や機械学習サービス「Amazon SageMaker」、ストリームデータ処理基盤「Amazon Kinesis」などを組み合わせた構成が考えられる。車両情報という意味ではコネクテッドカーのテレマティクス情報を想定した「AWS Connected Mobility Solution(CMS)」もリリースを予定している。

1 AWS Conneted Mobility Solusionの構成例(出典:AWSジャパン)

 MaaSビジネスを目指す企業からすると、自社サービスの運用やAPI連携基盤に柔軟な拡張性と最新技術の迅速なデプロイが可能なクラウドを利用しておけば、将来、多様なパートナーと連携を進めることになった場合にも動きやすく、短期間で市場ニーズを捉えたサービス提供がしやすくなると考えられる。それではAWSをサービスインフラとして活用する国内MaaS業者は、現在どのような取り組みをしているのだろうか。

【お知らせ】AWS Connected Mobility Solution(CMS)について、本稿公開時に「リリースした」としていましたが本稿公開時点ではリリースに向けた準備を進めている段階です。訂正して更新いたしました。(2020-11-25T09:54:13+09:00)


小田急電鉄「MaaS Japan」が進めるAPIエコノミーによる移動体験のDX

2 小田急電鉄 西村潤也氏

 小田急電鉄は、MaaS開発の専門チームである「次世代モビリティチーム」を組織し、積極的なMaaS推進を図る企業だ。

 同チームの統括リーダーである西村潤也氏は3つの具体的な取り組みを紹介した。

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