Slackの導入から全社展開までを担当 運営チームのツール標準化に向けた作戦

東映アニメーションは運営チームの指揮の下、Slackの導入から全社展開に取り組んでいる。72チームにも及ぶシャドーITを統合するところから始まったプロジェクトの課題と今後の展望を運営チーム担当者が語った。

» 2020年11月26日 07時00分 公開
[田渕聖人ITmedia]

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 東映アニメーションは、アニメーションの製作や販売、著作権の版権事業などを手掛け、海外にもビジネスを積極的に展開するアニメ制作会社だ。同社は、2020年11月12日に開催されたオンラインイベント「Slack Tour Japan Online」での講演「Slackでコラボレーションとイノベーションを加速させる方法」において、ビジネス用メッセージプラットフォーム「Slack」の導入から全社展開までの道のりを語った。本稿はその模様をレポートする。

東映アニメーション作品紹介(出典:東映アニメーション)

「野良」どころか「有償」も 調査から見えてきたメッセージプラットフォームの利用実態とは

賀東 敦氏(東映アニメーション 経営管理本部 情報システム部 課長)

 メッセージプラットフォームは、一度導入するとリプレースが面倒なツールのため慎重な選定が必要だ。東映アニメーションの経営管理本部 情報システム部 課長の賀東 敦氏は、さまざまなメッセージプラットフォームを比較検討する上で、シャドーITを含めた全社のメッセージプラットフォームの利用実態を調査するところから始めた。Slackに2019年11月時点での利用実態調査を依頼したところ、実は社内の大多数がSlackを利用している事実が明らかになった。

東映アニメーションにおけるSlack利用調査(2019年11月19日時点)(出典:東映アニメーション)

 上記の図において「Free Teams」は、自社に申請せずにSlackを利用している、いわゆる「野良Slack」のチームだ。青枠で囲まれた「Paid Teams」は「有償版Slack」のチームを指す。つまり、東映アニメーションにおいて72チームがシャドーITで、1チームが有償プランでSlackを既に運用していた。賀東氏はこの結果に衝撃を受けたという。

 「行動力のあるユーザーやチームは、ビジネスの目標達成に向けてツールの導入に積極的だということが判明した。社内や部内でメッセージプラットフォームを検討するのであれば、ツールを勝手に入れられないような技術的な仕掛けが必要だった」(賀東氏)

 全社的なSlackの運用を担当する賀東氏率いる「東映アニメSlackチーム」は、実態調査後、暫定運用ルールを設定した。「メッセージプラットフォームはSlackを使用してほしい」と周知することで、社内ニーズが元から高かったSlackの利用を促進させて、社内のメッセージプラットフォームの多様化や分散化を防止する狙いだ。

 東映アニメSlackチームは、こうしたルールを設定した後にSlackのフリープランを導入した。しかし、ログの保存や利便性の問題からユーザーが離れかけたため、野良Slackやフリープランの重複するユーザーの圧縮も兼ねて、2020年1月にSlackの有償プランである「Enterprise Grid」の導入に踏み切ったという。

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