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» 2020年12月10日 10時00分 公開

電話は総務管轄からITインフラに統合可能か:「Teams電話」の評価は? 12拠点1000人で運用した成果

テレワークを追い風にTeamsによる既存PBXの乗り換えが徐々に広がりを見せる。キャリア通信網を使いながら、ITインフラの1つとして一貫した管理が可能になるという。複数拠点で1000人規模の導入を成功させた企業が導入プロセスと効果を語った。

[土肥正弘,ドキュメント工房]

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 全社的なテレワークが始まり、内勤の従業員もテレワークになったとき、従来の「内線」や外線着信の応対をどうするかに頭を悩ませた企業は少なくない。人数が少なければ、外回りの多い営業部門と同じように携帯電話を貸与することも考えられるが、部門代表への問い合わせをどこに転送するかといった問題が残る。コロナ禍の現在、デスクワークが中心の企業であっても電話対応のたに出社する人員をゼロにできない企業もある。

 実は2020年夏以降、こうした問題をクラウドサービスで解決する選択肢が出てきた。本稿は、1000台の固定電話と12台のPBXを丸ごとクラウドサービスに置き換え、出社レスの通話環境構築とIT部門による一元的な端末管理を実現した横河レンタ・リースの実体験を紹介する。

※本記事は11月11日のマイクロソフト主催「お客さまの取組みに学ぶ、ニューノーマル時代リモートワーク最前線」での講演を基に内容を再構成している

顧客体験を再設計する取り組みが先行した

1 横河レンタ・リース 情報システム本部 浅野井 宏之氏

 横河レンタ・リースは全国に12拠点を持ち、約6800社の顧客に計測器やIT機器のレンタルおよび物販サービスを提供する。従業員数は約1000人だ。現在はその全員がスマートフォン(「iPhone」)を利用し、内線/外線ともにクラウドサービスを介した音声通話を採用する。

 機器のリースで実績の長い同社だが、2016年からは自社製品の提供も開始し、サービス提供会社としての成長も目指す。

 ここで経営課題として浮かび上がったのが、顧客接点や顧客体験の強化だ。中堅・中小や成長企業へのサービス拡大を進める中で、増大する顧客数や契約数にどう対応するかが問題となっていた。

 顧客情報への迅速なアクセスや顧客対応のスピードを考えると、従業員がどこからでも必要な情報にアクセスできるクラウドを活用する方法が最適だと考えられた。

 そこで同社IT部門はあらゆるオンプレミス環境のクラウド移行を積極的に進め、「Office 365」(現「Microsoft 365」)、「Microsoft Teams」の導入などによるオフィス業務環境の変革を続けてきた。

拠点に残る電話をどうクラウドシフトするか

 ところがクラウド移行の中で撤去できなかったのが、12拠点に設置していたPBXだ。社内の内線はもちろん、顧客やパートナー企業とのコミュニケーションには品質よく信頼できる音声通話基盤が必要だ。IP電話よりも高い品質でどこでもオフィスの電話を受発信したい。そこで同社が目を付けたのが、2019年8月にソフトバンクが発表したした「Unitalk」だ。

 Unitalkは、ソフトバンクの音声通話網とマイクロソフトが持つ音声通話網を閉域接続して提供されるクラウド型の音声通話サービスだ。Teamsで内線網を構築できる他、「03」「06」などから始まるOAB-J番号の固定電話を使えるようになる。つまり、Microsoft Teamsで内線、外線の通話が可能になるため、従来のPBXを代替できる。管理や設定もMicrosoft 365の管理ポータルに一元化できることから、運用管理担当者もセットアップのために出社する必要がなくなる点もポイントだ。このサービスのリリースが、同社の状況を打破するきっかけになった。

通話環境切り替えの課題と2つの選択肢、電話のフルクラウド対応は可能か

 移行で中心的役割を担った情報システム部の浅野井氏は「オフィスでの業務スタイルは長年変わっていなかったし、外出機会のある従業員にはiPhoneを支給しており、決定的に音声通話に困ることはなかった」と語る。しかしその一方で「オフィスが拡大するとともに、テレワークやオフィスのフリーアドレス化などの働き方改革を推進する必要が出てきており、全体のコスト削減も含めて、他のITシステムと同様に音声通話システムもクラウド化すべきだ」と考えていた。

 内線/外線のクラウド化についてはUnitalkの他にも2つの選択肢があった。

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