中小企業でもDX人材を確保できる「逆転の発想」とはCDOがいなくてもいい

これまでの特集は、専門家の知見や企業事例からDX人材について考えてきた。特集第4回となる最後は、DX人材となりうる若手をうまく活用するために中小企業が取り組むべきことをSansanの柿崎 充氏が語る。

» 2020年12月23日 07時00分 公開
[田渕聖人ITmedia]

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 特集「DX人材を再定義する 人材育成から読み解く企業のDX戦略」は、これまで企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の現状と「DXを推進する人材を育成または確保するために企業がすべきこと」を、専門家へのインタビューや企業事例を交えて紹介してきた。特集の最後となる第4回は「日本企業のDX推進における問題点」と「DX人材を育成または確保するために企業が何をするべきか」について考えていこう。

Sansanの柿崎 充氏(デジタル戦略統括室 室長 一般社団法人CDO Club Japan事務局マネジャー)

 クラウド名刺管理サービスを手掛けるSansanの柿崎 充氏(デジタル戦略統括室 室長)は、Sansanと他社のアライアンスを担いつつ、講演者としてDX推進企業の取り組みを広く企業に紹介するエバンジェリストとしても活動している。1万人以上のCDO(Chief Digital(Data) Officer)が所属するグローバルコミュニティーであるCDO Clubの日本支部CDO Club Japanの事務局マネジャーとしても活躍する同氏に、中小企業のDX推進を担う若手の確保や育成についてポイントを聞いた。

形から入ってもダメ 日本企業特有の「名ばかりCDO」解決策はあるのか

 企業規模の大小にかかわらず、DXにおいて重要な役割を果たすのがCDOだ。特集第2回は、そのミッションについて詳しく取り上げた。DX推進を経営改革と位置付けて、責任者として改革をけん引していくCDOのような存在が、多くの中小企業に求められている。一方で企業によっては、まず形だけの「名ばかりCDO」を設置して後からそのミッションを考えるケースも少なくない。

 「ユーザー企業のDX推進を手伝ったことがあるが『CDOを取りあえず置いたからみてくれ』といわれて行ってみたら、ただ役職を置いただけで『何もしていない』というケースもあった。取りあえず『データを集めてみた』といった話もよく聞くが、目的がなくただ集めたデータは、意味がないことが多いのでお勧めしない。データを集めたり保存するのにもコストはかかる」(柿崎氏)

 こうした問題はなぜ起きるのだろうか。柿崎氏は、日本においては年功序列制や男性優位の企業風土や文化が「名ばかりCDO」のような役職や肩書にこだわる企業体質を生んでいるのではないかと推測する。

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